第51話 私のせい

2人が別れたのは、2学期の始まり、9月ぐらいだった。


もちろん、別れを切り出したのは、友永。「どうしても、親友としてしか見れない」と言われて振られた彩音は、私たちのように親しい間柄でない全くの他人から見ても、目に見えて憔悴しきっていた。


夏休みの間は、彼の部活を待って、一緒に帰ったり、私と武井君を交えて4人で街に買い物に行ったりするなどして遊んでいた。

2人っきりで出かけることも多かったみたいなのに、キスはおろか、手も繋いでなかったらしい。


全部、私のせいだろうか。


この『チカラ』はどうやら、私の勘違いではなかったらしい。


1学期のあの電話で、『ありがとう』と言ってから、心なしか、その次の日から彼の視線が私に向かうことが多くなった。夏休みの課題の勉強とか、自由研究に一緒に行ったりとか、全て彩音とすればいいものを、私を頼ってくるようになった。


そのことを知った彩音はもちろん、いい顔はしなかっただろう。二学期の教室での、憔悴しきった彼女の、私を憎んだような訝しむ顔。忘れられない。


それもあってか、私たちは、一緒に帰らなくなった。



一緒に帰らなくなった、一番の要因は…。




私と友永が付き合ったこと、だ。



次は、彩音の番だ。


置き去りにされた気持ちを、思い知れ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る