42.喜んでくれるかな≪壱狼≫

いつもと違う路線を利用し、少し遠い駅で降りてみた。



電車が発車し、ホームに居た人々も階段へ消え、後は反対車線の電車を待つ人々が疎らに残っている。



ホームに設置されたいくつかのベンチのうち、5人掛けのベンチに座る人物と、反対側のベンチに座る人影。



5人掛けの端の席に座れば、先に座っていた男が、携帯型魔法具らしき物を弄りブツブツ呟いている。



キモ。



僕の居る側のホームに電車が到着し、反対側にも電車が到着した。



プシューッ―




女子高生っぽい人の後に続き電車へ乗り込む。







3駅ばかり電車に揺られ、女子高生っぽい人の後に続き電車を降りた。



数メートル先、前方の背を眺めながら、同じように改札口を出ると、程なく現れた高級車に乗り込んで遠ざかって行った。




選択ミスったか。




ショップが建ち並ぶ辺りでもブラつきますか。ーー何かあるかもしれないし。







ウインドウに飾られたマネキンを眺める。


洋服は詳しくないが、最近流行りの服なのか、お洒落な装いだ。割と年齢層高め?――大人な感じ。




ショップから女性客が出た途端、背後にクラクション。振り向けば、男が車を横切りながらこっちへ向かっていた。



男は女性客に詰め寄り


「…何してた。」

「何って…?」


「惚けるな!アイツと会ってたことを知らないとでも?――何してたんだよ!」


「……食事しただけよ。」

「はっ、どうだかな!」



参考にならない大人服を、いつまでも眺めてても無意味だし――あ、あの店が良いかな。



「…どういう意味?」


「アイツは優しかったか?なんて言ってお前を慰めたんだよ――どうせ巧いこと言われて流されて、股開いたんだろ!このアバズレが!」


「ほんと最低ね。」



目星をつけた店へ入った。

なかなか良い感じの品揃えだ。



「――――」


「―――」


・・・・・

・・・

・・




お、これ可愛い。喜んでくれるかな。



「お会計は――」




掘り出し物見つけられたし、来て良かった。



店を出て歩き出せば――ちょっと気になる男女。


あ、最新式のヤツ使ってる。あれ結構高かった気がするんだけど金持ちだね。


有名人でも居るのか?



ターゲットっぽいのは――あれかな?確認した2人連れは――ん?アレは―――



こっち来て正解だったかも。



もうちょっとだけブラブラして帰ろっと。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る