【2】



あの日、いつものように灘流と談笑しながら朝食を食べていたのだが、エッグトーストを食べている時、黄身は固め派か半熟派なのかで議論になった。


灘流は固めだと主張し、私は半熟だと主張した。


お互いの主張は交わらず、平行線のまま討論会は幕を閉じる結果に。



分かり合えないって悲しいですね。



違うな、これじゃない。








あの日、いつものように灘流と談笑しながら朝食を食べていたのだが、卵焼きを食べている時、甘い卵派か甘くない卵派なのかで議論になった。



灘流は甘くない方がいいと主張し、私は甘い方がいいと主張した。


お互いの主張は交わらず、平行線のまま討論会は幕を閉じる結果に。



分かり合えないって悲しいですね。


多分これじゃないな。








ある日ふと思った。



そうだ、迷路で迷ってる人を見物しよう。



閃いた私は、早速藍蒔に美羽ちゃんを我が家へご招待させ、休日を待つことにーーしてみたが、なんか暇を持て余したので、折角我が家に来てくれるのだから、少しでも美羽ちゃんに楽しんでもらおうと企画を考えた。



撮影スタッフと駆け出しの役者さんを雇い、あたかも撮影者が偶然撮ってしまった映像です的ドキュメンタリー風味(ホラー寄り)の、作り話なのか真実なのか曖昧な偽番組を作って美羽ちゃんが我が家に来る前日に仕込んでみた。



美羽ちゃんちの新聞も偽新聞に変え、美羽ちゃんちのテレビに番組が放送されるように手配。



萩原が上手いことやって、ちゃんと視聴させることに成功。



これで美羽ちゃんの気分も盛り上がり、楽しく過ごしてくれることだろう。



そして迎えた本番。



ウキウキしながら眺めたけど、10分で飽きた…



なんか思ってたのと違う。



結論。



美羽ちゃんはリアクション芸人にはなれない。


その事に気付けただけでも良しとしよう。



リアクション芸人への道が閉ざされた美羽ちゃんに、同情を禁じ得ない。



私はそっとエアハンカチでエア涙を拭った。




それが午前中。



そして今、そろそろアフタヌーンティー終了。



魔法具で迷路を見ると、まだ美羽ちゃんが迷路に居る。



こんな時間まで迷路に夢中になってるとは、迷路大好きっ娘だな。



ここまで好かれたら、迷路さんも迷路冥利につきるね。


美羽ちゃんが迷路大好きっ娘で良かった。そうじゃなかったら、ズルをして迷路から出ようとしたかもしれない。


もしそうしてたら、ちょっと怖い目に合うことに。




顔見知りがちょっと怖い目に合うのを眺めるのは、さすがに申し訳ない気持ちになる……なるかな?なるよね?なるに違いない、多分。



正直動くのがめんどくさい。


なんかもう美羽ちゃんはこのままで良い気がする。だってこんな時間まで迷路で楽しめちゃう人だよ?迷路大好きっ娘なら、迷路にその一生を捧げるのは本望だと思う。


さよなら美羽ちゃん。君の勇姿は忘れない。五分くらいは。


・・・・


・・・


・・



いや、ダメだ。将来美羽ちゃんの使い道あるかもしれないのに、めんどいからって性急に結論を出すのは良くない。


もしかしたら、めっちゃ重宝でうっはうはな未来を私に提供してくれるかもしれない。


そうは思うものの動きたくないこと山の如し。


美少年のためなら労力は惜しまない派だが、美少女相手だと米粒ほどの労力も惜しみがちな私は、後処理は灘流に任せようと思う所存です。



灘流なら上手くやれるって信じてる。



「そんなわけでお願いします。灘流さん。」


「オケ」



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