7.おねだりされた




「…ねぇ皆、美羽この人嫌い。美羽を苛めるんだもん。だから追い出して。」


「ソファに移動する前に“魅了”使ってたでしょ?でも、美羽ちゃんの魅了はもう効かないよ。」


「なっ…んのこと?美羽そんなもの使ってないよ。」


「美羽ちゃんの“魅了”ってすごいよね。生徒会メンバーにも効いちゃうんだから。自分のことヒロインとか恥ずかしげもなく、自信満々に言っちゃうだけはあるね。ほんと凄いねヒロイン力。」


「だから使ってな「すごいのは、“魅了”が効くような人間味溢れる存在を創造出来る主です。」


「俺もそう思う。…ただ、一時とはいえ主以外を一番て思わされたことが腹立つ。」


ギロッー


「ヒッ」


人を殺しそうな目で睨まれ美羽ちゃんがビビる。



「同感ですね。主以外をあんなにも、あんなにもッ」


ギリギリッー


「痛い痛いッ!手がッ手がッ!」


副会長の握力に騒がしくなる美羽ちゃん。




「主…、俺、今まで以上に頑張るから、主以外で心を満たした俺を嫌いにならないで。」


「もう二度とこの様なマネはしません。俺にとっての至高は主だけです。」


「二人共…」


私は藍蒔から立ち上がり二人の側へ。


「ああ~…主の温もりが…」


「皆に男性のシンボル造らなくてよかったよ。」


チラリと美羽ちゃんをみる。



「そう…ですね。もし付いてたら今頃恐ろしい結果が待ち受けていましたね。主に付けて欲しいと懇願して断られ落胆しましたが、こうなってみると英断ですね。……けど、やはり欲しい気持ちは今も強くあります。」


「あ~…だな。俺もすっごく欲しかったけど、付いてたら俺等喰われてたな。絶対。今回付いてなくて良かったけど、やっぱ欲しいなあ。…主、ダメ?」


「は?…え?え?付いてない??え、お、女?」


「俺も俺もッ!すっごい欲しい!アレが手に入ったら俺は、更なる高見を目指せる気がするぜッ。」


お前の目指す高見とは一体。



「そんな皆さんに朗報です。」


ノート型魔法具に、ある記憶が入っているクリスタルをセット。


ソファー三人組に向けてポチッとな



5、6メートル先に映るピンク髪の女子高生の後ろ姿と男子高校生の後ろ姿。二人は手を繋ぎアパートの中へ。


早送りで二時間後。


なんか艶っとした女子高生が出てくる。


「なッ!?」



別の日。


5、6メートル先に映るピンク髪の女子高生の後ろ姿と男子高校生の後ろ姿。二人は手を繋ぎアパートの中へ。


早送りで二時間後。

なんか艶っとした女子高生が出てくる。(男は最初とは別の人)


「なななッ」


別の日。


5、6メートル先に映るピンク髪の女子高生の後ろ姿と若い男の後ろ姿。二人は手を繋ぎアパートの中へ。


早送りで二時間後。なんか艶っとした女子高生が出てくる。





この後、約20人ほど続く






「何よこれぇーッ!?ああアンタわたッわた私をッッ」


「は?バカかお前。なんで主がお前みたいなビッチに貴重な時間さかなきゃならないんだよ。俺に決まってんだろが。」


彼の中では何かが決まっているらしい



「はあッ!?萩原が私をストーカーしてたってこと!?」


もはや呼び捨て



「は?ストーカーじゃないし。卑怯な手段でお前ごときに夢中だった俺は、お前が困った時に即座に解決出来るように常に近くに居ただけだ!登校、下校は勿論、校内の移動(トイレの時のみ)、軽い寄り道から艶っとした寄り道の艶っと(回数)確認、帰宅後の(トイレの回数)確認。俺はお前の守護神ガーディアンと言っても過言ではない。」


人、それをストーカーと呼ぶ。



「いやぁああーーーッ」


美羽ちゃんが手を振りほどこうとしたがギュッと握られていて果たせず。



「五月蝿いです。」


副会長にキュッと絞められ落ちた。






「で?何が朗報なんだ?主。」


「男の子(の身体)に詳しい美羽ちゃんが居れば、君達の望むようなシンボルを造れるかなと。」


シンボルって人それぞれ違うと思うし、皆にもそれぞれ違うものを造ってあげたい。


私は細部まで拘りたい派なんです。



「「「おおーッ」」」


「俺、どんなヤツにしようかな~?」


「俺は、実用的なのがいいですね。」


「使い心地に拘りたい。それで俺は、俺はフヘへッ………あ~、待ち遠しい。」



子どもが新しい玩具を楽しみにしてるみたいな表情でキラキラしてる。



過度の期待が、ものすごく重い。


見た目は問題ないが、本物のように実用出来るものを作れるか分からないんですけど。



「あの感じだと、断られる可能性もあるし、ご機嫌取った方いいかもね。」


「「「…あ」」」


「そう…ですね。…………まぁ、なんとかします。」


その間はなんですか?



「…………だな。きっと、了承するさ。ビッチだし。」


だから、その間はなんなんですか。



「ああ、……アレで俺等に夢中にさせてやろう。」


若干悪い顔になってるのは気のせいだな。うん。



さっさと帰って、臨場感溢れるその模様を鑑賞しようそうしよう。




「じゃあ私、帰るね。」


「「「ハイッ!お気をつけてお帰りください。」」」



私はドアに〔会議中。立ち入り禁止〕の札をかけ、音漏れ防止をかけてから生徒会室を後にした。










帰宅後、早速部屋で動画鑑賞のためスイッチオン。



美羽ちゃんが逃げないようにしてる萩原、美羽ちゃんの横に葛城、そして美羽ちゃんの身体に触れている藍蒔。


「……」


画面を見た瞬間、私はそっと目を閉じた。





群がる男達に翻弄され、肌を上気させた美少女の口からは、艶かしい声。


翻弄する男達も、美少女のその声に煽られたのか、息は荒い。



時折耳元で何事かを男が囁くたび、美少女の身体はビクリと揺れる。


静かな部屋で繰り広げられる美しき獣達の狂宴。


執拗に与えられる快感に支配され、やがて少女は…









という妄想劇場が脳内で展開された。



恐るべしマッサージ動画。すごいよマッサージ動画。


真に恐るべきは藍蒔ですけどね。



マッサージしてんの藍蒔だし。



藍蒔は、あらゆるマッサージに精通している、マッサージのスペシャリストだ。奴の手にかかれば、どんな相手でも昇天するだろう。


なんで藍蒔がマッサージ得意かって?


そんなこと決まってるよ。








椅子といえばマッサージでしょ。



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