八月の物語
花火
闇夜へ打ち上がる花火玉。
その勢いに全てを委ね、
僕の罪を括り付けることが出来たなら。
「た〜まや〜」
隣へ並び、花火を見上げる彼女。
その声は夜空へと消え、
引き替えに現れる大輪の華。
「綺麗」
大気が震え、僕の魂を激しく揺らす。
その衝撃は責め立てるように、
次から次へと押し寄せる。
全てを覆い隠そうと、
つい手に力が入ってしまった。
彼女はそれを勘違いして、
繋いだ手から強い温もりが伝う。
それが一層、僕を苦しめる。
夜空を彩る華々は、
この心を隅々まで浮かび上がらせた。
周囲で起こる歓声は、
こんな僕を嘲笑っているのだ。
折り重なって乱れる、僕とあの子の影。
美しい光の幻想は、
醜い現実をまざまざと見せ付け、
僕の心へ焼き付ける。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます