第21章 新年あけまして

第343話 寮への帰還

 学校の新年は1月8日金曜日から始まる。

 でも僕は2日の昼過ぎに家を出て、夕方には学校の寮に戻ってきてしまった。

 家にいても何もする事が無いからだ。

 小学校時代の数少ない友人とも話が合わなくなってきたし。


 電車の中で彩香さんにSNSで寮に戻るよと連絡する。

 返辞はすぐ来た。

 明日の朝9時に図書館前で待ち合わせ。

 1人1品以上持込で食事会をしようとの事だ。


 他に寮に戻っている人がいるか聞いてみる。

 僕の他、今日中に亜里砂さんも寮に戻るらしいとの事だ。


 続報で長文がくる。

 中等部高等部会わせて20人弱いる留学生の半分以上が寮に残っているそうだ。

 その居残り面子と七橋先生とで新年会をしておせち料理や各国の新年祝い料理を食べたとの事。

 ただ作りすぎて皆で分担して持ち帰ったけれど、まだ残っているとの事。

 だから正月的な料理以外を持ち込んで、とのことだ。

 他には皿代わりに自分の食器を持参との事。


 そうすると何がいいかな。

 今だけは親から貰ったお年玉で少しだけリッチなのだ。

 とりあえずスーパーに寄って、あるものを見て考えてからの方がいいかな。

 そんな事を考えながら最寄り駅である私鉄支線終点駅に到着した。

 早速駅前から開いていそうなスーパーへ。


 2日でも開いているスーパーが1軒あった。

 でも賞品が微妙に少ないし高い。

 いわゆる正月価格だ。


 お年玉が入っていつもより少しリッチなのだけれど、値段を見ると買うのを躊躇してしまう。

 いわゆる貧乏性という奴だ。

 辛うじて許せる値段なのは肉だと鶏肉、それも胸肉か手羽先、砂肝かレバー位。


 正月的でない料理というとやっぱり肉だよな。

 そんな訳で鶏の手羽先を1人5本として20本分購入。

 1パックが8本だったので3パック。


 前にこれを未亜さんがコーラ煮にしたけれど、今回はどうしようかな。

 スマホでレシピを検索する。

 揚げ物をは自分の部屋でやるのは怖いので、甘辛煮付けに決定。

 醤油と味醂、生姜チューブにごまがあればいいかな。


 そんな感じでスーパーの袋をぶら下げて、30分歩いて学校へと帰る。

 途中で自分の晩ご飯を買うのを忘れた事に気づいたけれど、まあいいか。

 鶏の手羽先のうち余る4本を味見がてら夕食用にすればいい。


 そんな感じで代わり映えしない寮の自室に到着。

 ただ困った事に実家より、この狭い部屋こそが自分の家のような感じすらする。

 両親には大変申し訳ないけれど。


 さて、電車に2時間以上乗って疲れたので一休みするか。

 料理は一休み後に作ろう。

 そう思って、一応スマホの目覚まし時計をセットしてベッドに横になる。


 久しぶりに会うけれどみんな元気かな。

 久しぶりといっても1週間も経っていないから変化がある訳は無いだろうけれど。

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