第336話 テントの中で調理中
1時間ちょっとお散歩して戻ると、テントがまた増えていた。
雪山と言ってもここは結構メジャーな場所らしい。
「寒いとトイレ行くのが面倒なので、皆さん済ましておいて下さいね」
皆でトイレに寄った後、またテントへ。
「あとは水を湧かしたり、御飯を作ったりです。ただ夕焼けはと星空は皆で見に行きましょう。寒いですけれどね」
そんな訳でまた水作り開始。
「そう言えば先週のテスト勉強会、成果はどうだった」
「バッチリだったのだ。この調子をキープできればA組も余裕なのだ」
亜里砂さんは強気。
「大分上がったけれどもう少しですね」
美洋さんは謙虚だ。
ちなみに2人を含め、中間テストの成績は全員20番台以内に入っている。
彩香さんは相変わらずトップで、僕は追い抜けないままの2位。
未亜さんは相変わらず見直ししないのでケアレスミスが響いた5位だ。
「まあ順調なようで何よりだな。さて、取り敢えず水をまた作るか」
そんなわけでまた雪を溶かして水を作る作業を開始する。
「ついでですから夕食も作りはじめましょうか」
もう一つガスと鍋を取り出した。
更に食器の大きいものを採りだし、中に米と水を入れて米に水を吸わせる。
半ば凍ったカット済みの野菜、カットした後味付けしてラードで固めて傷みにくくした肉を投入し火に掛ける。
野菜や肉の塊が溶けたところで先生は吸水させた米と水を入れて蓋をした。
「今日は炊き込み御飯というかおこわですね。あとでクリームスープも作りますけれど、時間がかかる方を先に火に掛けます」
「味付けはいいのですか」
「さっきのお肉を固めたものに今回は味を付けています。ペミカンと言って肉なんかを味付けしてラードで固めたものです。雪山では結構保存が利くので便利ですよ。まあ最近は色々いいインスタント食品があるから作らない人も多いですけれどね。
今回のペミカンは鶏肉、鶏挽肉、タマネギをラードで炒めて固めたものですよ」
「鍋で炊き込み御飯って難しくないですか」
「慣れていますからね。登山用の薄いコッヘルなら振動で中の水蒸気の具合がわかりますから」
そんな感じで先生は炊き込み御飯専従、生徒で交代しながら水を作る。
「水は全員の1リットルポリタンクに入る位までつくって下さいね。寝る時は雨具などで来るんで枕にして、シュラフの中に入れれば凍りませんから。空気が乾いて喉が乾いた時に便利ですしね」
なるほどなあ、色々な工夫があるものだ。
「後は30分位したら夕暮れだから外に見に行きましょう。折角ですから皆で。だから今のうちにヘッドライトも用意しておいて下さいね」
「あとランタンも今のうちに出しておこうか。どうせ使うし」
そんな感じで色々用意。
そんなこんなしているうちに先生の方のおこわが完了したらしい。
「これで大丈夫なはずです。あとはゆっくり蒸らせば完成」
「なら今できた水で紅茶を作る。それを魔法瓶に入れたら外で夕日を見に行くか」
「賛成なのだ!」
という事で、皆でまた靴をはいて外に出る。
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