第334話 テントでちょっと一休み
そんな訳で。
転んだ後の姿勢とかピッケルを雪面に刺すやり方とか色々やって。
更にアイゼンを付ける練習、付けて歩く練習、滑落防止をする練習をした後。
「こんな感じですね。それではテント内で休憩しましょうか」
という事で中に入って、小さいデスク箒で入ってしまった雪を払って、靴を脱ぐ。
「皆さん足の方は大丈夫ですか。感覚が無いとかありませんよね。手で触って確認してみて下さい」
皆真面目な顔で足の指を確認。
「問題無いのだ」
「それでは今の訓練の時に私が取ってきた綺麗な雪があります。これを使って水をつくっておきましょう」
先生と僕のザック内側背中側にはベニア板が入っている。
それを取り出してテントの真ん中に台の代わりに敷いてガスボンベを置く。
「夏だとテントの外で調理するんですけれどね。雪山だと寒すぎるのでテントの中で調理をします。そうしないとガスも気化して燃えてくれないんですよね、寒冷地用を使っても」
「結構温かい気がすけれど、今何度くらいなのかな?」
彩香さんが素朴な疑問。
先輩がにやりと笑ってザックの頭部分から何かを取り出す。
「ジャジャジャジャーン、温度計!」
そう言って出た値を皆に見せる。
「うそ、これでまだマイナスなの!」
「とてもこんなに寒いと思えないのだ」
「同感です。わからないものですね」
数値はマイナス5度。
もし学校のある頭子とか葉耶麻でこの気温だったら寒くてたまらない筈だ。
「それだけ頑張って身体の方が熱を作っている訳だ。だからその分カロリーを補給する必要がある訳」
「川俣さんの言う通りですね。それに汗をかいたり空気が乾いていたりするので、どうしても水分が足りなくなったりするんです。そんな訳でこまめにお茶タイムをして、何かを食べたりした方がいいんですよ」
「ダイエットには最適なのだ」
亜里砂さんがそんなとんでもない事を。
「まあそうですね。ただ食べないとシャリバテと言って、本当に動けなくなったりしますからね。何事も程々にという事で」
大きい鍋に雪を入れ、水になったらまた雪を追懐して。
そんな感じで鍋半分位の水を作る。
「残った行動食と一緒にスープでも食べましょうか。それとも雪山用激甘ココアの方がいいですか」
「両方!なのだ」
亜里砂さん、元気だ。
「なら最初はスープで、次がココアですね。取り敢えず出来た水の半分は水ポリに入れておいてと」
先生が持っている2リットルのポリタンクに水を入れる。
そして残った水を別の鍋に。
「こっちの鍋は水沸かし用に綺麗にしておきたいですから。さて、ちょっと水分を多く取りたいからチキンコンソメスープにしましょうか」
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