第18章 秋の山占拠計画
第313話 ローコストな計画
「さて。温泉も良かったのですけれど、今後の計画なのですよ」
無事先生の家に辿り着き、皆でいつもの部屋で伸びながら会議。
なおこの部屋、前はフローリングなのだけれど和室になっていた。
先生に聞くと、
「寒くなってきましたしね。ホームセンターで軽量畳を買って敷いたんですよ」
とのことだ。
「また温泉がいいのだ。もう温泉だけでも満足なのだ」
完全に亜里砂さんは温泉にやられてしまっている。
困ったものである。
今日の温泉、出るまでに3時間近くかかった原因の1人が亜里砂さんだ。
「私もああいう大きくて色々あるお風呂は始めて。また行きたいな」
犯人その2の彩香さんもそんな事を。
少しは僕の身にもなってほしい。
なかなか上がってこない女子を一人で待つあの時間の長さとか。
車という密室内に2時間、お風呂上がりの女の子に囲まれて健全な中学生男子の感じる色々とか。
言えないけれど。
「12月の雪山体験の時も帰りに温泉に寄りますけれどね。11月は創立記念日もありますし3連休もありますし、まだまだ色々な事が出来ますよ」
「温泉も露天風呂ならアウトドアなのだ」
亜里砂さんは暴走したままだ。
大体そんな活動されたら男1人の僕はどうすればいいのだ。
「でも温泉旅館とか行くと高いしさ」
そんな訳でちょっと牽制させてもらう。
「なら箱根辺りの山を登って、帰りにまた日帰り温泉でもどうでしょうか」
それ絶対に目的は温泉だろう。
「勘弁してくれ。毎週飯代プラス2000円位かかると、毎日菓子パンしか食べられなくなる」
「食パンをまとめて冷凍して毎日少しずつ焼いて食べればもう少し安くなるよ。後は御飯炊いて、鶏ガラ出汁の素の一番安いのが100グラム200円で売っているからそれで味付けした炒飯とか」
彩香さん、それ厳しすぎる。
というか実はリアルにやっているだろう、それ。
「まあ育ち盛りの中学生がそれでは栄養不足になりますからね。12月の雪山の時に1人3500円位かかる見込みですし、ですからもう少しお金のかからない活動をしましょうか」
先生がそう言ってくれてちょっと安心。
「例えば山を独り占めなんてどうですか。上手く行くかどうかはわからないですけれど」
何だろう、それ。
「それってどんなことをするんですか」
「山に行ってテントに泊まったり避難小屋に泊まったりするんです。平日の西丹沢の避難小屋とかなら多分誰もいないと思いますよ。景色は塔ノ岳みたいに良くは無いですけれど、綺麗な滝が多くて気持ちいい場所です」
あ、そんな事を言ったら。
美洋さんが完全に……
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