第304話 そんな訳で登山口へ

 先輩作のパンフレットというか案内を見ながら登山の準備。

 ザックと靴は今回は自分のものを使う。


 今回は服装の注文が色々細かい。

 まず全体的な事として木綿は禁止。

 汗をかくと肌にくっついて体温を奪うからだろうだ。

 だから素材は毛か化繊の物と指定されている。

 だから僕の持っている私服のズボンは全部駄目。

 運動用のジャージのズボンくらいだ。


 上はジャージ上衣の他、速乾性の化繊100パーセントのTシャツが使えるな。

 その上に毛と化繊混紡の襟有り前ボタンのシャツを持っていこう。

 あとはフリースを防寒用に持っていけばいいか。


 靴下は先生が山専用のを貸してくれるそうだ。

 雨具は先生のを借りてと。

 あとは水2リットルと非常食2回分か。


 装備表を見ながら色々考える。

 おやつとか余分な物を持っていってもいいけれど、その分確実に重くなる。

 だからその辺は最小限。


 そんなこんな用意をして。

 そして7日土曜日の朝6時。

 寮の前を先生の車は出発した。

 いつものようにコンビニで朝食を買って、どんどん車で山の中へ入っていく。


「何か凄い道ですね。本当に車が通れるんですか」


「運転に注意すれば普通の軽自動車でも何とかなる道ですよ。それにこの車はそこそこ車高がありますしね。一応4WDですし」


 しかし本当に酷い道だ。

 乗っている方も揺れる揺れる。

 しかも狭い。

 行き違いは所々にある待避所しか出来ないし。

 本当に大丈夫なんだろうか。


 そんな道を延々と行って、最後はちょっと広い平らな河原に出た。

 ここが駐車場らしい。

 既に何台も車が止まっている。


「こんな酷い道なのに、結構皆さん来ていらっしゃるのですね」

 美洋さんの台詞に彩香さんと亜里砂さんがうんうん頷いている。

 冗談じゃ無く振動で首が疲れるような道だった。

 ただここの駐車場はちょっと広くて、そしていかにも山間という感じで。

 場所としては気持ちいい。

 紅葉もちょうどいい頃だろうか。

 車のドアの外は寒いけれど。


「まずは車で朝御飯を食べて、それから登りますよ」

 そんな訳でまずは車の中でコンビニで買った朝御飯。

 今日は体力を使いそうなので、僕は奮発して500円ちょいのかつ入りハンバーグ入りのお弁当。

 ちなみに美洋さんは僕と同じごつい弁当で、未亜さんが幕の内系弁当で亜里砂さんがカツカレーの弁当。

 いつもは菓子パン2個の彩香さんも、今日は菓子パン2個とおかずパン1個と牛乳という奮発具合だ。

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