第281話 焚き火で作るおやつ色々

 大体10回くらい重ねて焼いて。

 小さなドーナツくらいの直径になったところでホットケーキの素が無くなった。

 最後はスプーンなどでホットケーキの素を食器からこそげ取ってバームクーヘンに塗りたくって。

 表面が綺麗な焦げ色になるまでのんびり回しながら焼けば完成。


「冷めてから切らないと上手く切れないから、これはしばらくおいておいて」

 先輩はそう言うとまた別の色々を出してきた。


「次はもっと簡単。こうやってマシュマロを焼く」

 菜箸にマシュマロを刺して遠火で焼きながら。


「あとそこのクラッカーの箱と板チョコを開けてくれ」

 というので言われた通りに開ける。


「そして焦げ目がついたらもうやわらかいからこうして外して、クラッカーに板チョコと挟んで、チョコと両方が溶けたところを食べる!」

 あ、これは簡単で美味しそうだ。


「これはスモアと言って、割とキャンプではメジャーな食べ方らしい。そんな訳で各自1セットだけ。カロリー高いから控えめに」


 真っ先に亜里砂さんが挑戦。


「あんまり焼きすぎるとマシュマロが焦げたり、溶けて落ちたりするからな」


 なんてやっていると、自転車組の2人が戻って来た。

 何やら袋をぶら下げている。


「美味しそうな林檎やキノコがあったので買ってみたのですよ、って何か美味しそうな事をしているのです」


「お、林檎とはいいセンスしているね」


 先輩がまたバックの中をあさってアルミホイルを取り出した。

「包んで焼こうぜ」


 そんな感じで、どんどんおやつ系が増えていく。


「この微妙な丸いのは何なのですか」

「さっき作ったバームクーヘン。そろそろ切っても大丈夫かな」


 なんてやっていると先生が帰ってきた。


「ただいま。なかなかいい風景でしたよって。何か美味しそうなことしていますね」


 そんな訳で。

 交代でスモアを作って食べながら。

 微妙にいびつなバームクーヘンを皆で食べて。

 焚き火から林檎を取り出してスプーンでくりぬきながら食べたり。

 焼き林檎を追加したり。

 そんな感じで延々とデザート時間をやって。


「そろそろ晩ご飯を作らなければならないのですが、皆さんお腹いっぱいですよね」

 というしょうもない事態になる。


「でもこのままだと夜中にお腹が空くと思うのだ」

「やっぱり作った方がいいですよね」

 という事で。


「なら夜はビーフシチューを作って、食べたい時に食べる形式にしておきましょうか。御飯では無くてフランスパンで」

 大きい肉の塊をガンガンに入れて。

 先生が家で切ってきてくれた野菜一式を大鍋に入れて炒めて。

 あとはコトコトと煮込んでおけばOKという感じ。


「そろそろランタンも付けましょうか」

 例のガスの灯りをテーブル上に乗せる。

 これがなかなかにいい雰囲気だ。

 美洋さんや未亜さんが買ってきた野菜や果物も全滅。

 林檎は全てホイル焼きとして全員のお腹に収まって。

 キノコもホイル焼き半分とシチュー内に半分ずつ使って。

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