第280話 ちょっと焚き火をしてみよう

 先輩はテントで熟睡中。

 先生はお出かけのようだ。

 自転車はそのままだから歩きだな。

 さてどうしようか、と思ったら。


「そろそろたき火でもしようじゃないか」

 ふらーっと川俣先輩が起きてきた。


「焚き火ですか」

「ああ。先生は汚れるからとあまり好きじゃ無いらしいけれどさ。私はのんびり火を見ているのが好きでさ、だから個人用を買ってしまった。今回デビューだ」


 折りたたんだ状態からよいしょと組み立てると四角形の部分が30センチ四方の逆ピラミッド型になる。

 そのピラミッド部分に枝や薪を入れて火を付けるタイプのようだ。


「見た通り小型だから薪だと大きすぎる。そんな訳で適当な小枝をちょっと探してみてくれ。私も探してくる」


 という事で、先輩を含め4人で適当な小枝等探し。

 浜辺付近や林との境目等から枯れ枝等を拾ってくる。


「風向きを考えて、火の粉がテントとかカヌーに行かないようにと」

 さっきの焚き火用のスタンドをセットして、そして燃えやすい物が下になるように台に積んで行って。

 最後に横から下に新聞紙をセットして。


「一発でうまく行けば儲けもの!ファイア!」

 とライターで火を付ける。

 案の定、新聞が燃え尽きるとともに火が消えてしまった。


「しょうが無い。手抜きだ」

 先輩はそう言って枯れ枝のこころもち太いのを取り出して、料理用のバーナーの上に乗せて火を付ける。


「これで自分で火がつくまで燃やしてっと」

 3分くらい枝を炙って、白い灰の部分もちょっと見える位まで熱して燃やして。

 そして再び焚き火台の下の方に投入。

 さらに再び新聞紙も投入。

 今度は新聞紙が入れてちょっとで燃え始めた。

 そして新聞紙が燃え尽きても炎が消ない。


「本当は着火剤があれば簡単なんだけど、勿体なくてさ」

 そんな訳で火が安定して燃え出すと。


「さて、焚き火でキャンプらしいおやつを作るぞ」

 先輩がそう宣言して、何やら色々、ごそごそと出してくる。


「まずはバター入りのホットケーキの素を作ってと」

 牛乳と粉を混ぜて、焚き火のそばでバターを溶かして食器の中でかき混ぜて。


「これをこの竹の棒にかける」

 下に食器を置いて、竹の棒を回しながらホットケーキの素をかけていく。


「表面にかかったら、この焚き火の上で回しながら焼いて」

 膨らんだかな、というところでまた上からホットケーキの素をかける。


「これを繰り返して大きくしていく。うまく重ねれば綺麗なバームクーヘンになる」

 確かになるな、結構めんどうくさそうだけれども。

 それでも4回、5回と繰り返すとだんだん太く成長していく。

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