第272話 食べながら今後の計画

 サッパのままかり風は僕好みの味。

 今回はちょっと炙って焦げ目を付けている。

 それもなかなかポイントが高い。


 煮付けは独特の癖がある。

 良くある魚の煮付けみたいな素直な甘辛に、何か癖がプラスされた感じ。


「この煮付けの味はヒイラギのせいだな。ハゼは癖がないんだが、ヒイラギは煮付けにするとけっこう癖が出てさ。ただこの癖がたまらなくなったりもするんだ」


「確かにこれは美味しいのだ」

 亜里砂さんは例によって煮汁御飯を作成。


「この煮汁とごはんと、ハゼの天ぷらが凄く合うのだ」


 なぬ。

 でも、確かに甘辛で魚の味が出ているこの汁、天ぷらにもあうかも……

 結局、全員で試してしまう。

 評価は2分。


「美味しけれど、ちょっと煮汁の味が強いでしょうか」

「私は美味しいと思うのですよ」

 という感じだ。


 それにしても。

「これだけの料理を1時間で作るの、結構大変だったでしょう」


「まあそれは人海戦術だな。内臓さえ処理してしまえばどうという事は無い。刺身だけ丁寧に捌いたけれどさ」


「ぬめりとウロコを取るのがちょっと面倒でしたけれどね」


「煮付けは圧力鍋を使って一気に仕上げたのですよ」


 なるほど。

 5人で色々分担して作ったと。


「でも、こんなに美味しいと明日またやりたくなりますよね」

 美洋さんが悪い事を言っている。


「あ、そうだ。今回の餌代と米代野菜代全部あわせて、1人200円徴収な」

 相変わらず安い。


「なら200円あれば、明日も出来るのですか」


「天気が良ければな。何なら貝柱、スーパーに買いに行っておこうか。天ぷら用の野菜も含めて」


「ついでに晩ご飯用のおかず類も一緒に買ってきたいのです」

 確かに学校内の売店で買うより、その方が安くすむな。


 結局小さい炊飯器それぞれで炊いた御飯は完全に無くなった。

「御飯がちょっと足りないのだ」


「まあ炊飯器が小さいからな。2つあわせても6合がやっとだし」


「なら次は僕も炊いてきましょうか。僕のも3合炊きですけれど」


「そうだな。ビリヤニをやる時は大体人数×1合で作っているんだけれど。でも天ぷらとか丼物になりそうなものだともう少し食べたくなるな」


「あと今の魚の煮汁、フキを煮たら美味しそうな気がしたのですけれど」


「この季節だとフキもかたいかな。虫も入っていたりするし」

 そんな事を言いながら、今日これからの計画を立てたりする。

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