第243話 お昼はそこそこ豪華です

「ちょっとだけやる気が復活したのだ」

ということで、また勉強会に戻る。

 集中力が復活すれば、元々美洋さんも亜里砂さんも頭は悪くない。


「よし、第1の課題はこれでクリアなのです」

 未亜さんが出した問題をすらっと解けるようになった。


「それでは美洋は文章題の方程式の応用編。亜里砂は文章題をいかにして式にするかの練習なのです」

 と未亜さんが第2の課題を出す。


 そんな感じで勉強会をすすめて。

「そろそろ疲れたのです。放牧希望なのだ」

 亜里砂さんがそう言って。


「そうですね。そろそろ時間なのでいったん片付けましょうか」

 と机上を片付けたところでドアがノックされた。

 お昼御飯の到着のようだ。


「よう、頑張っているかい後輩諸君!」

 川俣先輩の登場だ。

 おやつと同様、いくつものタッパーをカバンから出して準備を始める。


「秋というとキノコとか茄子とかのイメージだから、そんな感じのメニューだ」

 スープをちょっと深いアルミ皿に入れ、紙コップに冷たい例のお茶を入れて。

 そして色がちょっと赤いピラフを各々の皿に盛る。


「これはシンプルなトマトのピラフ。そしてスープはレンズ豆のスープ。あとは適当におかずを勝手に取ってくれ。おかずはそれぞれ、

  ○ ほうれん草とヨーグルトの前菜(ヨーウルトゥル ウスパナク)

  ○ 羊飼いのサラダ(チョバン サラタス)

  ○ レンズ豆のスープ(マフルタ チョルバス)

  ○ きのことチキンのソテー(マンタルル タヴク ソテ)

  ○ ラムのシチュー ナスのペースト添え(ヒュンキャル・ベエンディ)

 今回は日本トルコ協会のレシピを参考にして作ってみた」


 トルコ料理か。

 相変わらず料理の引き出しが豊富だな。

 そしてタッパーに入ったままでも美味しそうだ。


「いただきます」

の唱和とともに食事開始。

 食べてみるとやっぱり香辛料豊富系の美味しい料理だ。


「お昼だし場所柄もあるから、ニンニク使わないで生姜とかマスタードシードとかで代用したからさ。ちょっと本場と違う味になっている」


「でも美味しいのだ。ちょっと食べたことない系だけれどはまりそうなのだ」


 多分味付けそのものは鶏出汁だったり塩味だったり、いつも食べているものとそれほど変わらないのだろう。

 材料の組み合わせも茄子のペースト以外はそれほど変わった感じはない。

 でも容赦無く使っている香辛料が異国の感じを際立たせる。

 そして川俣先輩の腕もあって、容赦無く美味しい。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る