第218話 ベッドは二択

 今回の僕の寝場所は亜里砂さんのベッド。

 布団も花柄の布団カバーもそのままだ。


「ちょっとこれ、まずくないですか」

「そこ以外に寝るとすると、親用のダブルベッドしか無いのだ。

 ベッドは2つしか無いから、当然ダブルベッドは2人用なのだ。

 そうすると私か彩香と一緒にベッドインになるが、その方がいいのか。

 なお彩香はベッドイン一緒でもOKのようなのだ」


 おいおい。

 なお彩香さんは顔を真っ赤にしている。

 そういう際どい冗談は頼むからやめてくれ。

 表層思考が読めるだけにどこまで冗談だかわからない。

 いずれにせよ話題として危なすぎるだろう。


「そんな訳で心おきなく私の部屋を使ってくれなのだ。ティッシュもちゃんと用意してあるから安心するのだ」


 下ネタ良くない!

 というところで。


「そう言えばベジョータとかイベリコって何だったの」

 彩香さんがそんな事を思い出した。


「なら説明するのだ」

 亜里砂さんはLDKの片隅に設置されたパソコンを起動する。


「これで私の姓とミドルネーム、ハモン、セラーノと入れて検索するのだ」

 彩香さんは言われた通りに検索をかける。

 検索ページの右側に肉々しい画像が出てきた。

 しかも検索の一覧に『ハモンセラーノとハモンイベリコの違い』なんてのまで。


 そして。

 ハモンセラーノ:スペインの生ハムの一種。山育ちの白豚が主な原料。

 ハモンイベリコ:スペインの生ハムの一種。イベリア半島在来種の黒豚が原料。

 ベジョータ:イベリコの中でもドングリを食べて、放牧されながら成長した豚のランク。

 そう判明した結果。


「女の子を豚扱いは酷いでしょ」


 彩香さんに怒られてしまった。

 うん、わかっているんだ僕も。

 ただ余りに印象が強すぎて。

 確かに亜里砂さん色白でちょい肉付きいいし。


「まあまあこれは私が言い出したことなのだ。ネタとして強烈だけど覚えて貰いやすいのでいつも使っているのだ。少なくともファミリーネームとミドルネームはこれで大体覚えて貰えるので便利なのだ」


 そう亜里砂さんがかばってくれたけれど。

 そう、名前にインパクトが強すぎるのが原因なんだ。


 そんな訳で、ちょっと彩香さんのご機嫌を損ねたまま就寝。

 でもどう見ても女の子の部屋という環境のおかげで。

 僕はなかなか寝付く事が出来なかった。

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