第201話 競りという訳ではないけれど
昼食を食べた後。
「さあ、これが事実上最後の漁だ」
という事ですだて漁最終回に入る。
なお昨晩からの冷蔵庫整理で、使わないだろうアラ等は全部出して。
昨晩中にすだて中央に放り込んである。
しかも今日はいままでで一番潮汐が大きい。
そして成果は期待を裏切らなかった。
「とりあえずエイは生きているうちに海に帰しておくぞ」
なんて余裕の感じで。
今までの総決算、という感じで色々入っている。
魚種は大体今までと同じだけれど、それが全部込みという感じだ。
アジサバから黒鯛からソウダカツオからスズキから、ウシノシタにメジナにコロダイにブリ系の小さいのまで。
よくもこんなにという感じだ。
もう参加希望者全員で掬いまくって。
浅い部分に逃げたキビナゴまでしっかり獲って。
最後に網を砂浜から引き抜く。
「このすだて、大成功だったのです」
「面白かったよね。毎日色々魚が入っていて」
そんな事を言いながら大収穫をキッチンに運んでと。
さて。
キッチンは草津先生か、朗人先輩の領域だ。
という訳でここからの仕切りは朗人先輩。
「さて、この中で優先的に欲しい魚はありますか。どうせ余る位なので先にどうぞ」
川又先輩が手を上げた。
「それじゃ先輩方より先で申し訳無いけれど、持ちそうで珍し目のやつを3本いいかな。タッパーを借りたり冷蔵庫を借りたりした先生にお返ししたくてさ。しめて内臓を取っておけばそれ以上の細工は必要ない。料理は得意というか専門の人だから」
七橋先生用か。
確かに世話になっているし、あそこは2人暮らしだから多めでも大丈夫だろう。
「こっちはいいですよ。ではまず3本どれでも」
「なら、申し訳無いけれど」
コロダイの大きいの、ヒラマサの大きいの、スズキの大きいのとしっかりキープ。
「他に誰かいますか。なければ適当に皆で料理しますけれど」
実は、サバが欲しかったりする。
塩サバにして冷蔵して持ち帰り、しめ鯖にすればいいかなと。
でも個人的な理由だしな。
そんな感じでちょっと遠慮、
「ならこのままキッチンで。ただ自分で処理したい魚は自分でキープして下さい。例えば僕はキビナゴの新鮮なのって滅多に無いのでキープして、刺身とくぎ煮を作らせて貰います。他にも個人的にソーダカツオをキープしたい人とサバをキープしたい人がいると思います。それは捌いた人の自由です」
朗人先輩がそう言って。
調理の部へと移行する。
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