第183話 すだては今日も絶好調

「そんなに釣れたんですか。なら私も起きれば良かったかなあ」


「いや、あの鳥山の大きさだと5人でぎりぎり。それ以上で狙うときっとお祭り騒ぎになったと思う」


「お祭りって?」


「お互いの釣り糸が絡んでしまう事ですよ」


 なんて言いながら刺身やフレークとかを食べて。

 片付けをして一服していたら。


「思ったより潮が引いているのです。もうすだて漁は充分なのです」

 と佳奈美さんが言ってきたので皆で浜へ。


 確かに昨日より更に潮が引いている。

 そして網の部分に魚の背びれが見えたりする状態だ。


 そんな訳でたも網6つを抱えて浜へ。

 今回は網を沖に向かう方向に向けて張っている。

 一番沖側にだ円形に魚が溜まる部分を作ってあって。

 もう見た目にもわかる位うじゃっと言う感じで泳いでいる。


「今日はエイはいないけれど何か怪しい長物がいるのですよ」


「捕獲、そのまま浜に上げますね」

 超能力というのは非常に便利だ。

 そんな訳で長いのが浜にぽん、と置かれる。


「何ですか、この長いのは」


「ダイナンウミヘビ、かな。一応魚の仲間ですよ」


「氷温処理しておきますね」


 大人しくなった処をバケツに入れて。


 そして律化先輩を除く秋津女子組6人が網を持って中へ。

 今回は入口が浜側で、入口の水深が20センチ程度だから楽だ。

 魚も浅くて逃げにくい様子で、ひとすくいごとにガンガン網に入る。

 魚種は見た限り昨日とほぼ同じ。

 ただ浅いので若干砂利まみれになっているけれど。


 そして。

「彩香ちゃんごめん、そろそろお願い」


「わかりました。ちょっと冷たくなります」


「おお、冷やい」


 残った小魚が浮いてくる。

 掬って袋に入れて。

 キッチンへそのまま直行。


 テーブルに新聞紙を敷いて。

 袋から出して洗った魚を並べてみた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る