第163話 人間の海水漬け、もしくは海で休憩中

 タコとウツボ。

 持って帰ると結構皆さんに受けた。


「しかしタコはわかるけどさ、このウツボがきっちり詰まっているのは謎だよな。しかも生きているし」


「多分最初はカニあたりが入って、それを狙ったタコが入って、そのタコを狙ったウツボが入ったのですよ」


「食物連鎖だなあ」


「そして人間がいただく訳ですね」


「でもこれ、どうやって出しましょうか」

 というところで。


「やりますよ。というかウツボは一度やってみたかったんです」

 と救いの手が。

 まあ草津先生なんだけれど。


「ではお願いします」

「はいはい。ついでにタコもいただいていきますね」

 怪しい獲物は扱える人に無事手渡した。


 という事で。

 僕も彩香さんも海水浴というか海水漬けモードに入る。

 釣りや魚突きも今日は皆さんやっていない。

 何せ昨日や今朝の残りがまだまだ冷蔵庫にある。

 作っただけで味見していない保存食も。


「あとで野草は採ってこないとなあ」

「動物性タンパク質メインになっているしね」

 でも動けない。

 何か微妙に心地よくて。

 

「夕方にはすだても立てるのですよ」

 なんて感じで皆で話しながら。

 波任せという感じで海の中にいる。


 一応銛もシュノーケルセットも出してある。

 少しは泳いでみようかな

 なので銛とフィン無しで水中眼鏡とシュノーケルだけ装着。

 ふらっとその辺を泳いでみる。


 小さいのは相変わらずそこここに。

 岩場近くまで行けばそれこそ魚の群れもいる。

 ただ大きいのはやはりいない。


 やっぱりちょい遠くを狙うか、朝夕に狙うかなのかな。

 この状態なら二浦の海と密度的にはそんなに変わりないような。

 つまり三浦も時間と場所さえ選べばもう少し大きいのが狙えるかもしれない。

 まあ向こうは魚がスレているという可能性も高いけれど。


「そろそろ潮も引いてきたので、貝の採集やすだてのセッティングをするですよ」

 と未亜さんから連絡があったので、僕は海から上がる。

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