第162話 思わぬ収穫物

 午後は海水浴と言うより海水漬けという感じ。

 まあ食べ過ぎという訳だ。

 それでもやらなければならない事がある。


「セルビンを回収してくるか」

 という事だ。


「そうだね。こんなに釣りとかで釣れると思わなかったし」

 そう、それで1日放っておいてしまった訳だ。


 という事で。

 僕と彩香さんは思い身体でバケツと袋を持って旅だった。

 まず最初のセルビン。

 小さいカニが2匹。


「これは海に帰していいよね」

「そうだな」

 という事でセルビンのみ回収。


 2個目、空。

 3個目、ヤドカリ。

 そんな感じに延々と海に帰しては回収して。

 そして何個目だろう。


「何か気のせいか、重い気がする」

 と引き上げたところで。


「何!」

 思わず彩香さんはセルビンごと海に落としてしまった。

 僕が紐を引いて再回収。


「これは……ウツボだよな」

 ウツボとしては小さい方だろう。

 それが折れ曲がった形でセルビンにキツキツに詰まっている。


「これは面白いから回収しておこう」

「一応水入れたままバケツに入れようか」

 という事でおっかなびっくり回収して。


 そしてまたしばらくセルビンの中身を海に帰す作業を続けた後。

「又何か変なの入っている」


 引き上げてみると、足を出そうとしてきた。

 これは間違いない。


「タコだね」

「タコかあ」

 という事で、これも水に入れたまま回収。


 結局小魚やカニは海に返したので、獲物としてはウツボとタコだ。


「でも面白いモノが入ったからいいか」

「そうだね」

 と2人で空のセルビン18個と、中身入り2個を持って帰る。

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