第153話 質量ともに不足なし
そして。
サングラス姿で戻った先生2人。
どちらも上機嫌な感じだ。
2人でバケツ2つ。
片方が貝とか野草。
もう片方は、カツオっぽい魚とと大きいイカだ。
「スマとコウイカですね。ちょっと大人らしい事をしようと思って、ルアーとエギングをやってみました。歩いて島一周しながらですね」
島一周か。
足場が良くないし、結構大変だったのでは……
まあ体力化け物級2名だから気にしてはいけないのだろうけれど。
「あと今日は豪華な夕食になると思いますよ。秋津女子組も色々と本気を出していましたから。こっちはこっちで皆さん順調なようですしね」
「ならこっちは半身をなまり節にしておくのですよ」
未亜さんがキッチンで奮闘中。
いつの間にか彩香さんと美洋さんが手伝っている。
そして。
「ただいまー」
秋津女子組が帰ってきた。
バケツに山盛り、という感じで魚を入れている。
何か市場みたいな感じだ。
「何だその磯場大量虐殺みたいなのは」
朗人先輩がそう言って苦笑している。
何か心当たりがあるのだろう。
「それで申し訳無いが朗人、頼みがある。実はうちのチーム、誰も魚を捌く自信が無い。だから理奈に教えがてら手伝ってやってくれ」
「ほいほい」
透里さんのその微妙に調子がいい台詞に、朗人先輩がよいしょと身を起こす。
「すみません」
「いいえいいえ」
朗人先輩は理奈先輩にそう応えて。
「でも僕も魚は高校入ってから覚えた程度だけどね。ただ今はキッチン使っているし、次は先生のスマを優先した方がいいからもうちょっと後になるかな。どうせ魔法で氷温状態にしているんだろ」
「当然よ。ただ電撃魔法を使ったから若干タンパク質が変質しているのもあるかもしれない」
「心得た」
なんか普通じゃ無いやりとりをしているが、秋津的には日常なのだろう。
そしてスマを捌き終えたらしい先生からの提案。
「天気の悪い日に備えて、南蛮漬けとか作っておきますか。ちょうどいい小魚があればまとめて面倒見ますよ」
それは嬉しい。
「先生お願いします。うちは小魚けっこうあるもので」
そんな感じで。
昼と比べて断然豪華な夕食の準備が始まる。
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