第152話 お昼の成果

「ソーダはさっさと血抜きして調理しないとヒスタミン溜めるのですよ」

 という事で未亜さんはバケツにソーダカツオを入れ、家までダッシュ。

 僕らもこれを機に釣りは撤収した。

 今日のおかず用の魚はあれで充分だろう。

 あとは夜にまた何が釣れるか試してみよう。


「そう言えばセルビン、どうしようか」

 彩香さんに聞かれた。

 そう言えば仕掛けたままだな。

 でも。


「今日は大漁だからいいだろ。明日の朝の引き潮で引き上げて、今日出た魚のアラとか入れておこう」

「そうだね」


「この小さいのはどうしようか」

 彩香さんと美洋さんが釣った奴だ。

「先生に見て貰って、食べられるようならからあげですね」

 結構小魚のからあげや丸あげ、僕は好きだったりする。


 そんな感じで家に帰ると。

 秋津男子組2人も既に家に戻っていた。


「流石に1日中突き漁をしていると疲れるねあ」

 朗人先輩がのんびり言う。

 なお文明先輩はぐったり熟睡中という感じだ。


「どうでした、成果は」

「深草組の釣りほど数も大物は無いけれどね。2人プラスお裾分け用には充分かな」


 そんな簡単な感想に未亜さんがキッチンから追加説明。

「突きだけで捕っているとは思えない程の凄さなのですよ。冷蔵庫を見てみるといいのです」


 どれどれ。

「では見せて貰います」

「どうぞ」

 彩香さん、美洋さんと3人で冷蔵庫を確認。


「うわっ」

 僕らの釣りと違って掌サイズ以上のそこそこのものばかり。

 しかも色々な種類が入っている。


「文明は水深5メートルまでなら一撃で仕留めるからね。あの真似は出来ないな。

 取り敢えずキープしたのはカワハギ、ブダイ、コチ、カサゴ、フエフキダイかな。フエフキダイは何匹か群れがいたから3匹程」


 この人達は銛だけで生きていけるのでは無いだろうか。

 そう思ったところで。


「ただいま」

 川俣先輩が帰ってきた。

 見るとバケツに大量に野草を摘んでいる。


「どうせ草関係はこれからだろ。だから一足先に摘んできた」

「先輩ありがとうございます」

 先輩、流石だ。

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