第93話 初夏は5月いっぱいまで
高校組も着替えていて暇なので、ちょっと先生に聞いてみる。
「カヌーとかカヤックをやる時期って何か決まりがあるんですか。前に草津先生が5月中にやらないと出来ないって言っていたのですけれど」
小暮先生は頷く。
「別に法律で決まっている訳ではないのですけれどね。6月1日からは鮎釣りが解禁になる川が多いんです。カヌーをやって楽しい場所と鮎釣りの場所とはどうしてもかぶるので。
ですから6月1日から夏休みまではカヌー等はあまりやらないんです。釣りをしている人とへたすれば喧嘩になったりしますしね」
そういう事もある訳か。
そんな事を聞いている間に高校生女子2人が着替えてきた。
2人は水着の上に濃い色のTシャツ短パンという格好だ。
これが自作でない場合の正解なんだろう。
そんな訳で川遊び開始。
そしてこの頃になると周りもカヌーやカヤックを色々出し始めた。
この川、川下りが本当に盛んなようだ。
ここでキャンプしている人の半数以上がカヤックを用意している感じ。
他にもっと上流から降りてくる人もいる。
「ここはカヌーやカヤックの川下り場所として有名ですからね。遠方からもけっこう来ています。うちもそうですけれど。GWの時は凄かったですね。この河原にキャンプする人が入りきれないくらいで」
そんなにメジャーな場所だったのか。
こんな一見何も無い田舎が。
そんな感じで川に入ってみたり。
温かい浅瀬にいるメダカサイズの小さい魚を追っかけてみたり。
流れてくるカヌーを色々見てみたり。
気がつくと10時を少し過ぎていた。
そろそろ準備だけでも始めておこうかな。
そう思って車の後部を覗いて。
クーラーボックスから『土曜昼』と記載がある袋を出す。
その袋の中は更に2つの袋があって。
片方は『これから出る組』、もう片方は『戻ってきた組』とある。
中を確認すると『これから出る組』はサラダうどん。
戻ってきた組は『クリームチーズシチュー』となっていた。
なるほど。
シチューならチーズフォンデュの残りを入れても美味しかっただろうな。
残念ながら何も残っていないけれど。
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