第44話 本日の強制イベント
翌日火曜日の授業は6時限目までだ。
地理の授業が終わって帰る用意をしていると、昨日同様の感じで美洋さんが登場。
「今日は急ぎますの、早く」
何があるんだろう。
そう思いながらせっつかれるように早足で理化学実験準備室へ。
よく見ると美洋さん、授業用以外に大きめのトートバッグを持っている。
フライパン2つが見えている処から見ると、何か作る気のようだ。
理化学実験準備室につくなりカバン等を置く。
そして昨日の棚からカゴと革軍手、鋏を3人分取り出す。
「では先生、今日はあのフキをちょっと料理してみたいので採ってきます」
「気を付けて下さいね」
先生はあっさり了承してくれた。
なので完全に美洋さんに引っ張られる形で昨日の場所へと出発する。
途中で川俣先輩と出会った。
「お、今日は何が目標だ」
「フキを煮付けるまでです」
「了解」
この会話で始めて全体像がつかめた。
「あのフキを食べる気なんですね」
「ええ。だってあんなにいっぱい生えているんですもの。まるで料理して下さいという招待状のようじゃないですか」
いや僕はそう思わないけれど。
でも面白そうだとは思う。
「料理方法とかはわかりますか」
「大丈夫、昨日ネットで調べて参りました。塩も醤油も出汁もみりんも用意しました。ばっちりです」
美洋さん、とんでもなく積極的だ。
「時間配分を考えると採取には30分しかあてられません。なので少しでも多く、柔らかくて美味しそうなのを採取して下さい」
という事で、僕達は学校裏に辿り着く。
当たり前だがこんな処に他に人はいない。
「では始めましょう」
それぞれ軍手をはめてカゴを手に、フキ採取が半ば強制的に始まった。
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