第43話 学内野草味見会
先輩がクサソテツと言ったゼンマイっぽいおの。
他にはアケビの若芽と言ったただのつるの先っぽにしか見えないもの。
そして「トゲがあるから気を付けろよ」と言ったイラクサ。
同じくトゲがあるからと鋏で切って採ったミツバウツギの若芽。
ミツバも少し収穫して部屋に戻る。
先生がビーカーと三脚、ガスバーナーでお湯を沸かしながら待っていた。
「どうせ味見するんでしょう。もうすぐお湯が沸きますよ」
机の上には紙皿と割り箸、マヨネーズとごまドレッシングが置いてある。
「先生ありがとう、おかげで手間が省けます」
「やる事は大体わかっていますからね」
この辺の行動はお互いお約束という事のようだ。
先輩は取ってきた山菜をボールに入れ、水を入れる。
更に上からカゴ押して野草を沈めた。
「一応虫出し。茹でれば虫がいても大丈夫なんだけれど、まあ気分だな。あとトゲがあるのもあるから注意しろよ」
「食べる時は大丈夫なんですか」
「今回のは熱を加えればトゲが無くなるから大丈夫だ」
先輩はそう応える。
そしてボールとザルと流水とで洗った山菜を割り箸でつまんで湯がいて紙皿へ。
それを色々な種類ごとにやって並べた。
「さあ、学校周辺の手近な山菜のサンプルだ」
これで完成の模様だ。
量的にはせいぜい全部あわせてもシチュー皿を埋められるか程度。
元々はカゴにそこそこいっぱいあった感じなのに。
「他にも色々料理法はあるが、まずは元の味を確認してみてくれ。見たとおりの量だから少しずつな」
という訳で各自に割り箸が配られる。
先生も含めて味見会の開催だ。
「美味しい。香りが強いですね。いい意味で」
「野生だからな。野菜化したものよりは香りが強い」
「コゴミはそのままでも美味しいけれど、マヨネーズもあいますね」
「大量に採れれば楽しいんですけれどね。この辺りだと味を楽しむ程度までですね」
そんな感じであっという間に減っていく。
僕はアケビの芽が気に入った。
ちょこっと苦いけれど、でもマヨネーズをつけたらそれがうま味に感じる。
「あ、ノビル忘れた」
「そう言えばそうですね。でもあれもすぐ生えてきますし」
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