第41話 遠征の費用

 2人が写真を夢中で見ている後でほっと一息。

 そしてちょっと疑問を聞いてみる。

「この写真はいつの間に整理したんですか」

 確かに先生や川俣先輩がスマホで撮っていたけれども。


「昨日、川俣さんがSNSで写真を送ってきてくれたのでね。私のとあわせて今朝とりあえずフォルダに入れたんです。まだ入れただけで整理したとまではいきませんけれど」


 なかなか色々撮れている。

 まだ元気でバシャバシャ川の中を歩いている彩香さんとか。

 厚生棟のコンビニで買った大きいチキンにかぶりついている美洋さんとか。

 先生宅手前の坂で走って皆を抜いていく先生とか。

 楽しかったな、と思い出す。

 疲れたし、色々眠かったりもしたけれど。


「悠君、見終わった。次の写真」

 彩香さんが僕にそう請求。


「はいはい」

 ビューワーを閉じてまたフォルダの画面に。


「次はどれにしますか」

「これ、この釣りってある奴」

「はいはい」

 という訳で同じ手順でビューワー起動。


 合宿の帰りに案内して貰った堤防の先端部分だ。

 川俣先輩と見知らぬ先輩5人で竿を出している。

 釣れている写真もある。

 魚の大きさも色々。

 小さいのが3匹かかって自慢げな知らない先輩とか。

 ちょっと大きいのの針を外しているところとか。


「こんなに簡単に魚って釣れるんですか」

 彩香さんが先生に尋ねる。


「調子がいい時は冗談みたいに釣れますよ。駄目な時もありますけれどね。釣りだと夏に伊豆遠征した時の写真が凄いですよ。魚の数も大きさも種類もこの辺と色々違って楽しかったですね」


「でも遠征ってお金がかかりませんか」


「1泊2日で宿泊費交通費あわせて1人3000円ですね。行き帰りは私の車だし、泊まりはバンガローですから。ただ今年はこの人数だと4000円位になるかもしれませんね。人数が少ない分費用を割れませんから」


「それ位なら何とか大丈夫かな」

 彩香さんがそう言って頷いた。

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