ザ、カルフィー

1/20  inカトマンズ 


 早朝に目が覚める。チベット時間に慣れてしまい、太陽が昇る前に起きてしまう。まず一服いれる、“ねた”が手に入る場所での朝は一服から始まる。すごい良い! パンガンからはじまり、バンビエン、カンボジア、ベトナム、大理と“ねた”は少しずつ安く、バラエティーになっている。


 少しだらだらして、早朝のカトマンズをおがもうと外に出ることにする。カメラの中身をCDにやいたりと、色々とやることがある。出ようとすると宿のスタッフに英語でなにやら言われる。「Don`t Open 6p.m」夕方の6時までどの店も開かないらしい。途中から白人のおじいちゃんも会話にくわわり、カルフィーと話している。イスラムのラマダンみたいなのかな?


 とりあえず外に出してもらい、通りを歩くが人はほとんどいない。すべての店は閉まっていて、武装した警察が巡回している。これはすごい! マオイストの影響か? コダックに行くがやはり閉まっている。仕方なく宿に戻る。


 と、いうことは6時まで何も手に入らない。メシを楽しみにしていたのに。宿のスタッフに腹がへったとうったえると、宿の向かいの商店と話し、内緒で店に入らせてもらう。フレンドリーな店の人にあおられて、つい大量にお菓子を買ってしまう。めったに味わえない状況が楽しい。


 宿に戻り、一服いれる。今日はインドビザを申請しに行くつもりだったのに、予定が狂ってしまった。これではカトマンズに長く滞在しなきゃいけないかも。バナナチップを食べながらベッドに横になる。


 外に出られないってけっこう大変だな。散歩したくてもできない。一日中同じ空間にしかいられないとわかっていると、逆に空間から脱出したくなる。ネットでもしようとスタッフに聞くが、これもだめらしい。暇でとにかくぶりってしまう。


 昼過ぎになるとやることがなくなり暇になる。本を読むのもいいけど、どれも読みつくした本ばかりで読む気がしない。シャワーの水を出し、バケツに水をためていると、いつの間に暖かい水になっている。冷水でじゅうぶんなのに。トイレの水が流れなかったり、鍵がかかりづらかったり、満足していなかった部屋は、慣れてくると快適な部屋になってくる。ぶりり過ぎて頭がはたらかない、寝てしまう。


 目を覚ますと部屋は真っ暗だ。「ここはどこだ?」自分のいる場所がわからず、冷静に思い出す。電気が止まっているのか。マグライトを探し、部屋の外に出ると街全体が真っ暗だ。蝋燭の火がそこら中でオレンジ色に輝いている。時計を見ると7時、とっくにカルフィー終了時刻を過ぎている。やったー! やっとメシが食べれる! 真っ暗な通りに出ると、少ないがまばらに人は歩いている。まず、サンドイッチ屋に行くと、ろうそくを立てて営業している。ここのマスターはプロだ! ハムサンドを食べながら街を歩くと、どの店も閉まっている。


 たらふく食べれそうな店は見つからず、プッシャー(売人)に呼びとめられる。“カミ”と“×”があると言うので、見せてもらうことにする。観光客向けの高そうなレストランで、スープを注文してプッシャーを待つ。入り口にパン屋があり、日本でも充分通用しそうなケーキとパンが陳列されている。パンを買いプッシャーを待つ。


 戻ってきたプッシャーに“カミ”を見せてもらうと、5ミリ四方の紙が二枚、厚い材質の紙で、つくりはしっかりしている。大麻は10グラム、ガチガチでよさそう。あわせて700ルピーで交渉する。なぜかプッシャーはあせっていて、すんなり取引が成立する。もっと安く買えそうだ。

 今のところ相場としては、大麻樹脂はグラム70、大麻はグラム40、LSDは一枚100といった感じかな。胃にしみるオニオンスープを飲み干し、宿へ戻る。


 電気がとおり、やっと明るい雰囲気になる。9時から再びカルフィーが始まるらしい。買ったばかりの大麻をくずしてジョイントで一服する。もちろん効きは良く、ついつい贅沢に吸ってしまう。本をだらだら読んでから眠りに着く。


 カトマンズ二日目はカルフィー(外出禁止令)、マオイストの影響を感じる。けど、街の人はあまり深刻ではなさそうだ。“カミ”が安く手に入る。カトマンズでは何でも手に入りそう。安いし、とことんいろいろな“もの”を試してみよう。まさに“マリファナ青春旅行”のようだ。食べ物はたくさんあるので、安いとはいえ、たくさんお金を使いそう。無駄な出費はよそう。ネパールの生活がさらに楽しみになった一日だ。

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