014 情報保護 ⓵

「柏野さん、とりあえず座ってください」

「ありがとうございます。フゥー、さて、御子息が私たちの機関で協力してもらうことになったことは、みなさまご存知ですよね」

姉貴と母さんが無言で頷いた。

「御子息が協力してもらうことになったのは国内電子情報管理局の電子書籍消滅対策課というところです。お母様の職業は、記者だと聞いています。なので、噂の形であっても、このことには気づいているはずです。なんのことかお分かりになりますか?」

職業について言われた後から、どんどん表情が険しくなっている。詳しいことは、僕も聞いてないからなー。ていうか、本当に何があったんだろ。

「電子書籍の消滅ですね」

「はい、その通りです。さすが有名な記者の人だけあって、情報が早い」

「え、えーっと、電子書籍が消滅してるんですか?」

と、姉貴が、おぞおぞとしながら聞いている。

「𣴎美、ここ20年でかなり技術が進歩したといはれているのは知っているわよね。それに伴って紙の本がどんどんなくなっていって、電子書籍化したのも知ってもわよね?」

「うん」

「なんで、紙の本がなくなったと思う?」

一瞬、僕には言ってる意味がわからなかった。

「それは、技術の進歩とともに紙の本が読まれることが少なくなって、逆に電子書籍がよく読まれるようになったからじゃないの?母さん」

「確かにそれもあるわ。でも、もう一つの理由があるって言ったら二人はどう思う?」

もう一つの理由?そんなものがあったのか。中学の歴史でこのことに関係することなんか習わなかったぞ。あ、そうだ。

「姉貴、高校の歴史で何かならわなかったのか?」

「いま思い出したことなんだけどいいかな?」

僕と、母さんが無言で頷いた。

「技術が進歩しつつあるころに、主に先進国でISBMが剥奪された書籍が出てくるっていう事件があったんだけど、それのことかなぁ?私は、世界史を取ってたから深くわ知らないんだけど」

「あってるわ。私はその事件が起きて、初めて知ったのISBMを剥奪することが可能なんだって。それよりも驚いたことは、狙われた本が、こう言ってはいけないんだろうけど古くてあまり読まれることがないんじゃないかっていう本ばかりだったの。私はかなりの読書家だからたまたま買おうとした本が被害にあってて、店員さんと一緒に、

なんでISBMの欄が空欄なんでしょうね

って。」






みなさまこんにちは、maziceroです。この小説に出てくる事件や、人物は架空のものです。なので、誤解しないようお願いします。

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