明日からとても楽しみだよ


「お待たせ致しました」


話に区切りがついたところで、タイミング良く結祈が戻り、談笑を交えながら四人でちょっとしたお茶会をした。

その後あかねと結祈は自室に戻っていき、アーネストだけが部屋に残っていた。



「今日は怒濤の一日だったね。最も君が撒いた種だったけれど」

「フン。これはまだ序盤だ」


結祈が持ってきたコーヒーを口にしながら、ジョエルは吐き捨てるように答える。


「しかし驚いたよ。君の目的が、あかね嬢をリーデルにする事とはね」

「彼女は本来その立場にいるべき人物だ。然るべき対処をしたまでの事」

「本来ね……確かにあかね嬢はまだ若いけれど、自分を持った強い娘だ」

「強いどころか図太い小娘だったがな」


ジョエルの率直な感想に、アーネストは軽く笑った。


「ははっ確かに。でもとても良い娘だよ。君もそういうところが気に入ったんじゃないのかい?」

「どうだろうな」

「それとも……彼を重ねていたりする?」


曖昧な答えを口にするジョエルに、アーネストはさりげなく気になっていた問いを口にする。


「まさか」

「そうだよね。確かに似てるとこはあるけれど、あかね嬢は彼ではないからね」

「当然だ。あの娘はアイツではない」


そう断言するが、ジョエルの表情はサングラスに隠されよく見えない。


「…安心したよ。君は彼の事になると暴走するから」

「余計な世話だ」

「おや、それはすまなかったね」


詫びの言葉を軽く述べると、アーネストは席を立つ。


「今日はもう休むよ。さすがに疲れたよ」


言葉とは裏腹に、清々しい表情をしているアーネスト。

思いのほか、あの少女を気に入っているのだとジョエルは一人でに思う。


「フッ…体力作りをしたらどうだ?お互い、もう若くはないからな」

「親切にどうも。その助言、有り難く頂戴するよ」


恭しく述べて、ドアを開ける。


「明日からとても楽しみだよ」

「せいぜい彼女を助けてやるんだな」

「もちろん。君は助けないのかい?」

「愚問だな。私が無条件に手を貸すとでも?」


その言葉にアーネストは納得したのか、楽しそうに微笑んだ。


「それもそうか。じゃ、おやすみ」


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