第133話 魔物討伐、そして村へ
うげぇっ!?
おれ達が助けようとした
それを見た瞬間 おれの足は無意識に、
荷車から離れてバーントさん達の方へ――
突然出てきた長い黄色の髪の女性の方へ――
上空に飛んだ四匹の
おれ達の方に向いて大
四匹とも おれ達を標的にして襲い掛かってきた!?
「ちぃっ!! 」
魔物の親玉に体を向けていたマルゼダさんが、
こちらに振り返って 『何か』を投げた。
マルゼダさんが服の下に隠し持っていた
一匹の
その魔物は背中から地面に落ちて動かなくなった。
「はあぁぁっ!! 」
「くっ!! 」
迎え撃つように前に出たバーントさんと
ジョンの振るう剣が小さな蜂の魔物 二匹を真っ二つにして――
「あっ!? 」
「逃げろっ!? 」
―― 二人の間をすり抜けた最後の一匹が、
こちら目掛けて飛んできていた。
シアンさんは―― 硬直していて魔法もナイフも使えそうにない!
ミザリーさん―― も、顔を青ざめさせていて動けそうにない!!
村人の女性も、息を呑むような悲鳴を上げたまま
握りしめて怯えているだけで――
蜂は怖いし、腹に寄生されて食い破られる恐怖もあるし、
でも、自分の後ろには
おれが
おれも青ざめているせいか
視界が一瞬 黒くなったものの、
「貸してっ!! 」
「あっ!? 」
おれは女性から鍬を取り上げた。
子供の蜂の
取り上げた鍬の柄を握る左手に、
ググっと
おれが
そして無警戒に まっすぐ飛んでくる蜂の顔に、
「っっっ!! 」
鍬の柄の先端―― 一枚の鉄板でできている
ぶつけられた最後の蜂は背中から地面に落ちて、
ぶつけて そのまま鍬を振り上げ両手で持って、
すぐに仰向けになって動き出そうとする魔物の子供に、
鍬を振り下ろした。
鍬を振り下ろす勢いが強すぎて、地面に刃が食い込んでいた。
殺した……
振り下ろした態勢のまま、動けなくなった……
体が震えてくるし、息も荒くなってきた……
元居た世界では、蚊だって色んな虫だって潰してきて、
魚だって釣って食べたし、肉や野菜だって食ってきている。
わかってるんだ。『必要なこと』だってのは……
今までの旅で だって、見てきてるんだ。
人が死ぬところだって――
先ほどの光景を見たからか、自分が魔物を殺したからなのか、
冷や汗も体の震えも止まらないし、吐き気だって してきていた……
目の前の蜂の子供は もう動かない……
「ソーマっ!! 」
「アルテナ……? 」
呼びかけられて顔を上げると、
デカい蜂の魔物と対峙していたはずのアルテナがいた。
「あの魔物は――」
「あいつと二人で さっさと倒したわよ。」
言われて そちらを見ると、
羽も体もバラバラに斬られて死んでいる魔物の姿があった。
「そっか……冒険者の人達は……」
「ずっと腹の中 食われ続けて、もう死んでるね。」
荷車の上で彼らを見ていたヴィラックが
おれの言葉に答えていた。
「腹の中を食われて…… ―― っ!? セイっ!! 」
鍬を持って出てきていた黄色の髪の女性が、
悲鳴のように声を上げて、村へと走りだした。
「急ぎましょう! 村にも、
あの魔物に『刺された』人がいるはずよ!! 」
アルテナの言葉を聞いて、
おれ達は今度こそ村へと急いだ。
すでに息絶えた人達を荷車に載せたまま……
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