故郷どこにいても離れてくれぬもの。

ふるさとは遠きにありて思うもの

ならば声にだそう 本音をさらけだしましょう

見て物思うことを地元、ここ群馬の方々に問おうと 乞いましょう

呼応 慕情 生まれ育ったからこそ 本当のこと



田舎だし 夏は暑いわ、冬はクソ寒くて乾燥する。 


季節の変わり目に強く山からふく風が 頼んでもいないのに 知らせてくれるおせっかいな四季


巻き上げる土と砂ボコリは容赦なく顔を打ち、強烈な向かい風が自転車ですら歩くのとまったく変わらんくらいに 


そして両毛線は電車を乗り過ごせば一時間待ちだ


拗ねて座り込んだホームのベンチ


そこから赤城の山が今日も見える。


 

 幼、小、中と周りの奴らは代わり映えしないし、駅前はどんどん寂れていく


新しいのは郊外だけだ、でもここにしかない店はほとんどないんだ。 


のっぺりと、どんよりと、当たり前に


中心部だけがゆっくりと衰退していく。 


それでも前橋県庁の最上階から地元を覗き込みながら、探してしまう赤木の山


ああ、こんなところで終わりたくはない

ああ都会に出て、しがらみから抜け出したい

そうして早くここから出たいと思ってた十代の頃の自分。 


でも! でも! でもさ! 

全て時間の前で過ぎ去って、歳を取ればふと気づいて


たとえ異国の地にたどり着こうと、都会の街に佇もうと


いや! 気候の違う空気に触れようと ビルとビルに囲まれようと


いやいや! 聞こえる言葉はちがくても! 山が見えなくても! 


どこであろうと鳥は空を飛ぶ そして見あげれば 思い出す。


鶴舞う形の群馬県 空に陰影を浮かび出す。


幾千里 幾年 離れようとも それでも忘れられないのがふるさとなんだ


たとえ身、うらびれようとも 力尽き 侘びしく死にいくときでも


あの場所へ帰りたい あの場所で死にたいと願ってしまう場所


 夏の暑さと蝉の声。 


冬の初めにふくあの痛くて冷たい赤城おろしの風


 しがらみとジレンマでウンザリしてしまうほどの濃密な繋がり。


 その記憶。 感じたこと。 それら全てが合わさって今の自分となっているのだから。


 自分が自分をやめられないように、この場所で育ったことを無かったことにはできない。 


 いや! してはいけないと気づいたからこそ、この場所から進む

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