いつかまたここで

もうあなたには私は必要ないでしょう


熱したような鉄塊のその心、世界を照らすようなその情熱にも似た覚悟


折れて熱し、立ち上がり


また折れて熱し、立ち上がり


その度にあなたの中心部、その心根は徐々に硬度を増していく


しなやかに、孤高に研ぎ澄まされながらまるで究極の刀剣のように。


ああその要因にはなれても私は中心にはいられない


それを寂しくも思えるけれど


でもあなたとともにいるこの場所が好き。


だからまだここで。




全てが綺麗なものだけじゃない


傷つき疲れ果て、そして時には僅かな憎しみをほどこされた


それをあなたは自身の内側に飲み込んで色彩を深めていく


それら全てが装飾となってあなたを彩るのでしょう


私はその一部。


計算とは違う


それは定められたかのよう


運命的なまでの理想的な比率は皮肉に美しく


もうすぐ完成するその感性の証明


役割を終えた私はここであなたを待つだけ


それでもあなたと僅かに隔たれたこの場所が好き。


だからいつかまたここで。


それでもいつかまたここで会いましょう。


私はそう願うのです。








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