朧月夜に雨が降る


雨が降る。

雨が降る。


シトシト。

シトシト。


木造民家の屋根に当たってピチョンと弾けた水滴のカケラが降り注ぐ。




雨が降る。

雨が降る。


駐車場のプレハブ小屋。


安普請の薄い金属のグニャグニャと歪んだ屋根に弾かれて水弾が跳ね返って足元に落ちた。


空を見上げれば朧月が弱々しくそこにある。


でも雨は降る。

雨は堕ちてくる。


所在も無く立ちすくむ僕の上に不思議に雨が降る。


ずぶ濡れな僕が立っている。

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