ニャアニャア

  理想上げてれば上が無い


 男も女も同じ


 面倒くさい人間関係に悩むくらいならいっそのことワガママなご主人に仕えましょう


 ほら爪を立ててる 


柱に床に僕の腕に


 残るキズの跡を愛しげに撫でよう


 夜中は騒がしい


 起床は午前五時


 ご主人が僕の顔を踏みつけてる


 振り回されてる


 彼女に彼に


 それでも嬉しくなる 不思議に


 嫌だと思ってても気にしてくれない


 触れようとすれば噛み付かれ、引っかかれる


けれど


 ほらニャアニャア あのお方が呼んでる ご用件はお食事? それともお遊び?


 疲れてても許してくれない


 わがままなご主人様


 それでも愛しくて堪らない麗しき我が主


 ほら君も僕も夢中


 その毛並みに触れられれば全てを許せてしまうからたちが悪い


 ご用件は何でしょう?



 結婚が遠くなるよ


 訳知り顔の友の言葉に苦笑いで返す


 本当性質が悪い


 僕のことなんて考えてくれない


 それもわかってるよ けれど可愛くて離れられない


 ほらやってくる 風呂にトイレに○○ニー中も 新しいキズを誇らしげに見よう


 休みも騒がしい 就寝はご主人しだい かの主は僕の腹に乗って命令を下す


 仕えても仕えても満足してくれない


 彼に彼女 それでも仕えます 命ある限り


 だから嫌わないで、病気にならないで


 元気でいて いつまでも 自由に僕に噛み付いて 引っかいてください 


 ほらニャアニャア あのお方が呼んでる 


今日は甘え声で擦り寄ってくれる


 離れるなんて許してくれない


 ワガママなご主人様


それでも愛しい我が主 


いつまでも君も僕も忠誠マックス


 そっと指を舐めてくれるのならすべて救われる


 本当に性質が悪い僕の心 さあ今日のご用件をどうぞ


 ほらニャアニャア あのお方がお呼びになってる 一生を添い遂げた下僕を呼んでくれている


 ほらニャアニャア 呼んでおくれ いつまでも そんな弱弱しい声をしないで、もっと僕を噛んで爪を立てて 一生まではまだ足りないでしょう?


 ほらニャアニャア もう呼ぶ声は聞こえないけれど、貴方の代わりに僕が言いましょう。


 貴方の顔を撫でて 身体を撫でて ポタポタと落ちる何かも一緒に


 ほらニャアニャア 僕はもう仕えることは出来ないけれど せめて貴方との思い出をこの下僕に思い出させてください


 すばらしき我が主 いつかまた会う日まで いつまでも いつまでも 

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