第40話
―――――つんざく轟音、そして閃光。いくつもの連鎖する衝撃。
不思議なことに、それらをちゃんと自分の目で見て、耳で聞き届けていた。
これらはすべて走馬燈? 真っ白なもやがかかった視界のさなか、最後の一部始終。
やがて四体ともが白い光輪を纏い、剣に貫かれた魔女の亡骸を伴って地面から浮かび上がった。四体はそのまま上空の母艦へと向かい、その間も光は指数関数的に膨張し、強く激しさを高めてゆく。まるで魔女の亡骸から魂を吸い出しているかのようだった。
もはや光り輝く天使然とした騎士たちが魔女の亡骸とともに、元来た体内へと帰還する。
体内に魔女を飲み込んだ途端、母艦の巨大ファンタズマが膨張し、そして破裂した。
【――――しっかりして、エイトッ!!】
ハッとさせられる声が聞こえて、思わず目を見開いた。
目の前に、僕のよく知っている人が立っていたんだ。
「……七月…………せんぱい?」
もう辺り一面は溢れんばかりの光の奔流で、高速道路も町並みも跡形もない。そしてよろける僕を庇うように、忽然と七月先輩がいた。
破裂した巨大ファンタズマから溢れ出てきた真っ白な光の奔流が、僕たちを飲み込み、イ界からあらゆるすべてを押しやろうとしている。
それに抗い、遮るように、白銀の衣を纏った一人の少女が僕を背に立ち向かっていた。
【青き
右手に光の杖を掲げ、左手に光の魔法円をかざして、僕たちを飲み干そうとする滅びの潮流へと立ち向かっている。苦しげな表情を浮かべ、それでも僕を心配げにうかがう横顔。
【――ねえっ、あたしの声聞こえてんの馬鹿エイト! 意識をしっかり保ってよっ!!】
髪や瞳の色も、喋り方の癖も、それどころか背格好や漂わせる雰囲気すらもいつもの彼女と少し違ったけれど、それでも絶対に七月先輩だってわかった。
そっか。あれは七月絵穹じゃない――媛宮ソラノだ。
七月先輩、シュヴァルツソーマのリメイク構想から、新ヒロインであるソラノのイマージュを纏って助けに来てくれたんだ。
いかにモデルが先輩自身とはいえ、活字でしかなかったソラノを完全にイメージ通り再現した姿にハッとさせられる。まるで天使のように神々しい光の使い手・ソラノ。鮮烈な藍染めの髪をはためかせ、半透明のオーラを背に、翼みたいに六枚広げている。
【エイト―――――お願いよ、あたしの元に戻ってきなさいっ――――】
でも先輩、その名前の呼び方、僕の設定と違う――――
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