属性は何を選択すればお嫁さんにしてくれますか?:編集H ①

 お次は編集Hさん!

 タイトルは「属性は何を選択すればお嫁さんにしてくれますか?」!

 ラブコメの波動を感じます。


 さて。まずは編集Hさんのプロフィールと担当作品を見てみましょう。

 

――以下、コンテスト要項より抜粋


スニーカー文庫編集部・編集H

担当作品 『魔導GPXウィザード・フォーミュラ』『君と四度目の学園祭』など。

略歴 ライトノベル編集2年目。元エンタメ雑誌編集。好きな作品は『文学少女』シリーズ、『変態王子と笑わない猫。』『弱キャラ友崎くん』など。


――以上


 編集歴は2年目という事ですが、元エンタメ雑誌の編集さんという経験を活かしているのでしょう。

 実際に担当している作品について見てみますと、『魔導GPXウィザード・フォーミュラ』『君と四度目の学園祭』の2作品が上がっています。


 前者に関しては『魔導』という言葉から”ファンタジー物”。そして、『フォーミュラ』から”レーシングカー”を題材にしたものだと分かります。

 内容は魔法を使ったレーシングバトルかな、といったところ。


 これに対して後者は『君』という文字から”一人称視点”(二人称という可能性もありますが、まあかなりの少数派なのでここではスルー)。

 『学園祭』から舞台は「学校」、登場人物は学生。

 タイトルの雰囲気からも”青春物”って感じです。


 そして、『四度目』という言葉に興味を引かせる役割があります。


 一般的な学校生活において、一つの学校にいる間に開催される『学園祭』は何回ありますか?

 そう。3回です。


 では、何故『四度目』なのか。

 もしかしたら、タイムリープ物? いやいや、最近多い記憶を失う系かもしれない。それともそれ以外の――。

 と、タイトルを見た人の意識を引っ張る力を持つキーワードを入れていますね。


 では、公式サイトからそれぞれどのような作品なのか、簡単にあらすじだけ見てみます。

 まずは『魔導GPXウィザード・フォーミュラ』について。


――以下、「スニーカーWEB」より抜粋


世界を救ったのに、どこにも行き場のない元英雄― 彼が見つけた次の戦場は、百戦錬磨の魔導騎士たちが力を競う "ウィザード・フォーミュラ・グランプリ"だった! ドライバーとナビゲーターの2人1組で乗り込み、 時速700km以上で駆け抜ける超高速マシン"ウィザードフォーミュラ"。 それは乗り手のHな気分を高めれば高めるほどスピードが上がるもので……!? 鬼才・竹井10日の次なる挑戦は、 爆速×快感のフォーミュラカー・レースバトル!!


――以上(https://sneakerbunko.jp/series/wizard-formula/)


 タイトルから予想できたレースバトルに加え、あらすじでは「乗り手のHな気分を高めれば高めるほどスピードが上がる」という特殊設定が紹介されています。

 サイトには表紙も載っていたのですが、お色気要素を匂わせるに十分な絵柄に加え、『ウィザード・フォーミュラ』に対して『魔導GPX』が大きく印字されていました。

 また、女性のキャラ紹介に至っては胸の大きさが明示されています。


 これらの事からレースバトルよりも『ファンタジーお色気物』という点を売りにしているのでしょう。


 続いて『君と四度目の学園祭』のあらすじを見てみます。


――以下、「KADOKAWA」より抜粋


このままの関係が続けばいい。そう思ってた――。

高2の秋。

5日後に迫った学園祭の練習の帰り道、刻谷結羽太はトラック事故に遭いかける。傍らにいた幼馴染の少女・新都久遠がわがままを言って引き留めなければ、大事故になっていたかもしれない。九死に一生を得た結羽太だったが、その後も何かとトラブルに見舞われるように。そんな折り、久遠が学園祭で誰かに「告白」するという噂を聞く。はっきりと彼女への想いを認識した結羽太は久遠に想いを伝える決意をするが……。今日の「告白」を忘れてしまっても、明日君が「思い出」から消えても、必ず伝えにいくから。だから、どうか学園祭で待っていて――。恋と焦燥と疾走が胸を焦がす、青春エンターテイメント!


――以上(https://www.kadokawa.co.jp/product/321702000346/)


 担当作品に挙げられている前者とは180°方向性が違う作品、という印象です。

 しかし、タイトルから考えられた作品内容とそこまでの乖離はないようにも感じます。


 最後の「今日の「告白」を忘れてしまっても、明日君が「思い出」から消えても、必ず伝えにいくから。だから、どうか学園祭で待っていて――。恋と焦燥と疾走が胸を焦がす、青春エンターテイメント!」という文言から分かるように、学園を舞台にした青春物というイメージは、タイトルから十分に読み取れます。

 また、『四度目』という謎も上手い具合に誤魔化されていますね。



 このように、編集Hさんが担当された作品も「内容や雰囲気を匂わせるタイトル」である事が分かりました。


 また、『魔導GPXウィザード・フォーミュラ』の要素から言って、編集Hさんは女性担当ではないと考えられます。

 『君と四度目の学園祭』は女性担当でも問題ないでしょうが、男性視点であろう事から鑑みるに編集Hさんはである可能性が高いように思います。


 では、続きまして編集Hさんの”好きな作品”についても考えていきましょう。


 挙げられている作品名は『文学少女』シリーズ、『変態王子と笑わない猫。』『弱キャラ友崎くん』です。

 それぞれの作品情報を簡単に抜粋。


――以下wikiより抜粋

〇“文学少女”シリーズ

ジャンル ミステリー、ラブコメ、文学

小説

著者 野村美月

イラスト 竹岡美穂

レーベル ファミ通文庫

刊行期間 2006年4月28日 - 2011年4月30日

巻数 全16巻

本作は実在の文学小説が題材となっており、その小説をなぞるかのように物語が展開したり、登場人物がその小説に強い影響を受けたりしている。物語は基本的に井上心葉の一人称で進むが、その物語の合間には登場人物の「誰か」の文章・心情などがその人物の一人称で語られる。

(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E2%80%9C%E6%96%87%E5%AD%A6%E5%B0%91%E5%A5%B3%E2%80%9D%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA)


〇変態王子と笑わない猫

ジャンル 学園、ラブコメ、動物

小説

著者 さがら総

イラスト カントク

レーベル MF文庫J

刊行期間 2010年10月 - 2018年3月

巻数 全12巻

常に女子のことばかりを考えている横寺陽人は、自分が所属している陸上部の部長、鋼鉄の王から次期部長に指名される。しかし陽人はもともと水泳部の女の子の水着を見るという不純な動機で陸上部に所属していたため、やる気がなく断りたかったが、どうしても建前で喋ってしまい、中々本音が言えず断れずにいた。

そんなある日、小学校からの腐れ縁で陽人と同じようにエロいことばかり考えているポン太が、町外れの一本杉の丘にある「笑わない猫」像に願って自らの煩悩を引き取ってもらい煩悩から解放されたという話を聞く。聞けばその「笑わない猫」像は、お供え物を捧げることで、自分がいらないと思う何かを、それを必要としている他の誰かに渡してくれるという。

陽人は半信半疑ながら、藁にもすがる思いで自らの「建前」を猫像に引き取ってもらおうと像のある一本杉の丘に向かうと、そこで筒隠月子と出会う。いわく、月子も猫像にいらない「本音」を引き取ってもらおうと考えていたという。月子と共に像に願うと、供物を畳むためのベルトと月子の持っていた肉まんが消滅し、同時に陽人からは建前が、月子からは本音、すなわち表情が消えていた。

建前が消えてしまったために自分の考えていること、すなわち、物欲が全て言葉に出るようになってしまい、やがて学校中から変態であると認識され、変態王子という渾名が付けられ避けられるようになってしまう。陽人は月子と協力して、それぞれの失ったものを取り戻そうと奔走する。

そこで陽人は建前ばかりで喋る少女、小豆梓に出会う。彼女のしていたチョーカーが猫像の供物として消えたベルトと似ていたことから、陽人は建前が彼女に渡されたと考え、それを取り戻そうとする。

(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%89%E6%85%8B%E7%8E%8B%E5%AD%90%E3%81%A8%E7%AC%91%E3%82%8F%E3%81%AA%E3%81%84%E7%8C%AB%E3%80%82)

――以上

――以下、「小学館」より抜粋

〇弱キャラ友崎くん

これが人生(クソゲー)攻略の最前線!

人生はクソゲー。このありふれたフレーズは、残念ながら真実だ。

だって、人生には美しくシンプルなルールがない。あるのは理不尽と不平等だけ。自由度が高いなんてのは強者の言い分で、弱者には圧倒的に不利な仕様でしかない。

だから、クソゲー。

あまたのゲームに触れ、それらを極めてきた日本屈指のゲーマーである俺が言うんだから間違いない。

――だけどそいつは、俺と同じくらいゲームを極めてなお、「人生は神ゲー」と言いきった。

生まれついての強キャラ、学園のパーフェクトヒロインこと日南葵。

しかも、「この人生(ゲーム)のルールを教えてあげる」だって? 

……普通は、そんなの信じない。

だけど日南葵は、普通なんて枠にはまったく嵌まらないやつだったんだ! 


第10回小学館ライトノベル大賞優秀賞受賞作。弱キャラが挑む人生攻略論ただし美少女指南つき!

(https://www.shogakukan.co.jp/books/09451610)

――以上


 情報量に偏りがありますね、すいません。(汗

 まあ、とりあえずは”どんな作品なのか”という事がふわっとでも伝われば良いかと。


 では早速、ここからどんな事が分かるか考えてきます。


 まず始めに思いついたのが、作品の、という点です。


 『”文学少女”シリーズ』は学園ミステリーに対して、『変態王子』と『友崎くん』はラブコメでジャンルも内容も全くと言っていい程異なります。

 しかし、雰囲気は似ているのです。


 その理由として、という点を挙げられると考えています。


 『”文学少女”シリーズ』は実在の文学作品をベースに、その内容になぞらえた事件を登場人物が解決していきますが、思春期の少年少女の心の葛藤などが非常に魅力的な筆致によって描かれています。

 

 『変態王子』は主人公が変態ではありますが、読んでみると意外にも真っ直ぐで良い奴です。

 また、ストーリーとして「神様みたいな奴が人の願いを、本人が考えていたのとは違う形で叶える」という設定が根底に存在します。

 ”本当の願いとは何か”、という中々に重たいテーマをキャラを中心にして描いているため、タイトルに比べて結構な読み応えを私は感じました。


 『弱キャラ友崎くん』は陰キャラの友崎くんに対して、陽キャラのヒロインが人生についてレクチャーする学園ラブコメです。

 ひと昔前に「野ブタをプロデュース」というドラマが放送されていましたが、それの男女を逆転させたような内容ですね。

 ラブコメとは言えども、ヒロインの言っている事は中々に辛辣。しかし、それにもめげずに努力する友崎くんの姿には好感が持てます。


 以上のように、内容やテーマが違ってもその伝え方、訴え方には同じ要素が含まれているように私は感じました。


 また、舞台としては全てが学校の現代物。

 異なるテーマを扱いながらも、少年少女が織りなす青春物、というジャンルでは同じ括りに入るのではと思います。


 なお、『”文学少女”シリーズ』と『変態王子』は既に完結していますが、『友崎くん』は割りと最近の作品ですし、この辺りは元雑誌編集として多くのエンタメ作品に関わってきたからなのでしょう。

さらに、好きな作品群とは毛色の異なる『魔導GXPウィザード・フォーミュラ』のような男性向けのお色気作品の担当を務めている事から、編集Hさんの引き出しは多そうだと考えられます。

 落ち着いた作品が好きなのも含めると、ラノベ層にしては年代は少し上――40代くらいかもしれません。


 キャラクター像に関して言えば、少々ミステリアスな雰囲気のヒロインが好きなのかな、と感じます。

 

 物理的に食べるほど本が好きな「天野遠子」。

 猫のせいで無表情になってしまった「筒隠月子」。

 学園のパーフェクトアイドル「日南葵」。


 外からみた人物像が、果たして本当にその人を表しているのか。

 そんな疑問を抱いてしまうヒロインたちです。


 対して、主人公たちは分かりやすいですね。


 悩みを抱えながらもお人好しな「井上心葉」。

 己の煩悩を隠せなくなった「横寺陽人」。

 ゲームは最強、リアルは陰キャラ「友崎文也」。


 物事に真っ直ぐとぶつかり、基本的には人当りも良い好青年たち。

 物語に違わず”ザ・青春”してる主人公たちだと思います。



 よって、編集Hさんは”少年ジャ〇プ"的な文章に勢いのある作品よりも、『丁寧な描写や考えさせられるテーマ、爽やかな作風』が好きな人物であると推測できました。

 


 そのような作風が好きそうな編集Hさんが挙げた、「属性は何を選択すればお嫁さんにしてくれますか?」というタイトル。

 次話では、具体的にどのような内容が編集Hさんに刺さりそうなのかを考えていきたいと思います!

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