ペた




 最近ずっとぺたぺたしている。


 言葉にするとアホっぽいが、事態は深刻だ。


 なぜなら休むこと無く24時間ぺたぺたしているのだから。


 家に居る時も仕事をしている時もぺたぺたは収まらない。


 座っていても立っていても寝ていてもずっとぺたぺたぺたぺたしているのだ。


 足の裏にぺた。背中にぺた。頬にぺた。場所も時間も関係なく、お構いなしなのでとても困っている。


 廊下をぺたぺたすることもある。壁をぺたぺたすることもある。時には天井を、窓の外をぺたぺたしていることすらある。


 このぺたぺたはいつまで続くんだろう。


 このぺたぺたの正体は何なのだろう。


 そもそもぺたぺたとは何なのだろう。


 そんな疑問を嘲笑うかのように今もぺたぺたは続いている。


 ぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺた……。


 ずっと一緒だよ。


 眼には見えない粘着質な何かが耳元でそう囁いた。




                  (了)








  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る