目覚めと。
「この頃は敵なしじゃったろ、お主」
竜人が頬を綻ばせ言う。
彼女はアインに語り掛けてから、鎌の柄を地面に突き刺した。
「どうじゃ?」
「……別に、そんなことは無かったと思います」
「ほ? 黒龍もまた圧勝じゃったろ? 魔王の因子も我が物とし、一体全体何が余裕ではなかったのか理解に苦しむが」
すべて知ってる、そう言わんばかりに竜人が告げた。
しかしアインからしてみれば、簡単な戦いなんて一つもない。ハイム戦争、そして黒龍騒動、そこに至るまで多くの戦いを経験して来ている。
「お主は結果より経過を眺める節がある。無価値と吐き捨てはせんが、重要なのは何を成せるかじゃ」
「何が言いたいんですか」
「簡単なことじゃ。――イシュタル諸島最強に座したという事実を、お主は本心で認めようとしておらん」
「イシュタル……諸島?」
竜人はその疑問に答えず肩をすくませた。
すると愉快に「お主は強い。儂が認めてやろう」と言う。
「――じゃが、儂はもっと強い」
不意に、アインが立つ地面に巨大な影が下りた。
不穏な気配を感じ、アインは頭上を一瞥する。
「ここでは死なぬが、避けたほうがいいと思うぞ」
「ッ……ふざけ……!?」
アインが生み出した世界樹をいとも簡単に滅ぼした光芒、それが今まさに降り注ごうとしていた。
咄嗟に足を踏み出したアインが光芒を躱せたのは、本当にギリギリのタイミングだ。
躱した先で待つ竜人が勢いよく鎌を振る。
「頂点に立つと目標がなくなるとはよう言うが、お主もまたそれを避けておるだけじゃ。数年前までは多くの強敵に囲まれていたというのに、今では苦戦することすら稀じゃしなッ!」
「く――ッ」
鎌を防げたのは偶然だった。
アインの剣、イシュタルが粉々に砕け散る。
「それも安心してよいぞ。現実にはなんの影響もない」
剣が砕けたという衝撃よりも、更に大きな衝撃がアインの脳裏をかすめる。
今さっきの竜人の動きについてだ。
(アレで本気じゃないとか、ほんっと勘弁してよ)
脱力した動きは、鞭のように手足をしならせるだろう。
技巧の熟練した者の多くが使う動きだ。
しかしそれとは別に、竜人は身体に力らしい力を込めていないように見えた。子供の手を捻るかの如く、優しく穏やかに力を使っていたのだと、アインはこんな印象を受けていた。
(……これはどう整理をつければいいだろう)
幼い日のアインからすれば実力者たちは大勢いた。
竜人を例えるなら、幼い日に見た彼らを併せ持ったような存在だろうか。
ロイドと言う最高峰の力の持ち主に、クリスの神速を併せ持ったかのような存在。それでいて、エルダーリッチのシルビアを思わせる不思議な魔法の使い手で、身体は海龍の鱗より更に硬く険しい。振るわれる鎌の勢いは、暴走したデュラハンの力より鋭い。
これこそが、目の前に立つ竜人だ。
小さい体躯ながら飄々と立ち、これを戦いとも思わず遊んでいる彼女だ。
(海龍のときみたいなラッキーパンチは……難しいか)
魔石を破壊するように戦う。この戦法も使えるのか不明だ。
そもそも竜人と言う存在に魔石があるのか、それすら分かっていない。
加えて、アインが竜人に接近して吸収できるか――第一にこれが難問すぎる。
じりじりと距離を取ったアインは、絶対的な不利にありながらくすっと微笑みをこぼす。
竜人との闘いに楽しさを見出している。
絶対的な強者、彼我の戦力差は絶望的な強者が目の前にいるのだ。
何故か分からないが、楽しくて仕方が無かった。
この戦いには何の責任も付きまとわない。負けても何一つ悪影響は発生しない。
何の禍根も憂いもなく、ただ力比べが出来る貴重な時間だ。
「今頃ですけど、ここがボロボロになっても大丈夫なんですか?」
「儂の攻撃でも破壊できぬぞ。この世界はここにあるという概念でしかない。どうしてもボロボロにしたいのであれば、主の儂を倒さねばならん」
「そりゃいい」
無責任に暴れていい。
アインの瞳のさらに奥でいくつもの眼が蠢く。
最初は答えを聞き出そうとする戦いだったはずだが、今では少し目的が変わっている。
それを理解しながらも、アインは身体を止めようとはせず、全身を痛めつけるように猛らせた。
身体という炉に魔力と言うエネルギーを流し込む。
常人であれば、身体が破裂していてもおかしくない量だ。
人の範疇から外れている行いには、アインも自嘲せざるを得ない。
黒龍の力も得た今では、披露できる力が以前の比ではない。
「悪くない、じゃが」
と。
竜人がほくそ笑む。
「武者震いを感じるほどでもないのう」
最後には上から目線に言い放つ。
アインの自尊心は決して傷つかなかった。
力量の差が明白なことは今更だ。
地響きが鳴り、辺りの草花が揺れた。
辺りの空気がアインの右手を中心に集まっていくと、アインは右腕を振り上げた。
肘までが魔力で包まれていく。黒一色に覆われた様子は漆黒の手袋を纏ったようで――。
「行きます」
アインは簡潔に言って姿を消す。
「ふむ、本当に――」
悠長に声を出す竜人の背後。
何の警戒もされていない銀髪に対し、臨む黒い影が腕を振り下ろす。
「本当に遠慮のない動きじゃな」
「ええ! これで俺の勝ちになれば最高なんですが――ッ!」
「なるほどのう……」
刹那の会話は百分の一秒より更に早い。
常人であれば何が起こってるのかも分からない衝突は、天を穿つ黒い光芒で幕が上がった。
先程の竜人が放った光芒より更に強大で禍々しい。滅びとは斯くの如しであると、生命ある存在ならば本能で察するであろう波動だった。
バチッ、バチッ――辺りを奔る紫電のような魔力と、強烈な衝撃波が地平線の彼方まで波及する。
空高く舞い上がっていく力の本流の中に居て、竜人は平然と口を開く。
「黒龍の命を奪った一撃より更に桁外れ。イシュタル諸島丸ごと滅ぼせる一撃……よくぞここまで成長したものであるな」
(ッ――少しも動じてない……!?)
「ふふ、あはは……あっはっはっはッ!」
彼女は高笑いを上げ空を見上げた。
片腕で目元を覆い、心底嬉しそうに大口を開けていた。
「意味もない戯れに価値を見出せること。これほど愉快なことはないじゃろうッ!」
耳をつく強烈な破裂音の後、漆黒の光芒が内側からの破裂により消え去った。
白く輝く光が竜人を中心にして爆ぜる。
次の瞬間、さっきの衝撃波より更に強烈な風が生じ、
「少し気合の入った攻撃じゃ。消し飛んでも構わんのじゃぞ」
アインが全身に力を込めたのとほぼ同時に、強烈な風が身体に届く。
最後にアインは、竜人の挑戦的な瞳と目が合う。
「……素直に」
あんな目を向けられたことは今までに無い。
この戦いを戯れと言い放つような、絶対的強者との出会いもまたはじめてだ。
アインは強く歯を食いしばる。
特に足元に強く力を込めて構えると、
「素直に消し飛んでやるわけないだろッ!」
自分でも驚くほどの闘気を露にした。
何もせずに敗北というのは気に入らない。
意地があるとすれば、すべての力をさらけ出したのに何もできない。そんな事実だけは受け入れたくなかった。
「ぐっ……うぅ……アァ……!」
吹き飛ばされることなくアインは踏ん張った。
「ぬぉおお!? お主! どうやって耐えておるのじゃッ!?」
「俺は世界樹だッ! こんなことどうってこと……ッ!」
強がって見せるが、やはり余裕はない。
そんなアインの足の裏からは、細くも強靭な根が地中深くまで蔓延っていた。
ミシミシと悲痛な音が鳴りだすが、力を緩めるどころか更に込める。
アインの足に向けて膨大な魔力が流れていく。
「どうってこと――ないッ!」
衝撃波が徐々に治まっていく。
光芒も消え、相対する二人が互いを見合っていた。
アインは大きく呼吸を乱しながらも、得意げな顔で竜人を見返す。
「つくづくお主には驚かされる」
はぁ……と、竜人が感嘆の吐息を漏らした。
「分かっておるか? お主はついさっき、島ごと破壊する力を行使した。儂はその更に上を行く力だったわけじゃが」
「はぁ……はぁ……ッ」
「言葉通り、大陸よりも頑丈な男じゃ」
だからなんだ、アインはこう言い返したかった。
対する竜人は衝撃波どころか、光芒の中に居たのに少しのダメージもないからだ。
しかし心は折れていない。
「絶対にその余裕を……絶対に打ち崩してみせる……ッ!」
「ああ、やってみせよ」
アインは一歩踏み出すが、身体に思うように力が入らない。
竜人から漂うプレッシャーのせいか? いや、そんなことに怯えるような性格はしていない。考えられる原因は魔力や体力の使い過ぎだ。
(身体の限界が近い? 嘘だろ?)
現在のアインの魔力量は計り知れない。黒龍の魔石を吸収し、さらに高まっているのは言うまでもない。
だと言うのに、それらが枯渇してるという事実。
「どうしたのじゃ?」
目の前で飄々と立つ竜人、彼女との闘いでの消耗が激しすぎる。
一挙手一投足が全力も全力で、油断する隙は一瞬もない。
力を抜いて良い瞬間なんて皆無だ。
――それでも。
「いえ。俺が勝ったら聞くことを整理してました」
強気であろう。
心に強く決めアインは気持ちを入れ替えた。
「あーっはっはっはっはッ! お主は本当に愉快じゃな!」
抱腹絶倒という言葉が良く似合う笑い声だ。
相手は負ける可能性を微塵も抱いていないのだと、強制的に再確認させられる。
しかしこれが彼我の戦力差だ。
アインは深く深呼吸をして覚悟を決める。
「次の競り合いで終わらせます」
だが、この言葉は少し言い方が間違えている。
「次の競り合いで限界じゃと、そう言うべきであったな」
「……さぁ、どうでしょうかね」
竜人の言う通り、実際のところはただの限界だ。
だからこれまで以上の力を一撃に込める――アインは双眸を細めた。
「ほう」
変わった気配に竜人が声を漏らす。
ふと、アインは今日一番の冷静さが心に宿る。
自分の戦いを顧みて、焦ってはいなかったか? と自問した。
一辺倒の戦い方で頭が固くなっていた、その事実に気が付かされた。
そして。
『お前は強者の剣で戦おうとしている』
マルコと戦う前、カインに嫌ってほど教わった一言を思い返す。
今の自分は間違いなく弱者だ。強者として戦うほどの愚策はない。
「なら、俺は今の力で以前のように戦うまでだ」
強者相手をするのは今更だ。昔から何度経験したのか言うまでもない。
アインは背中から六本の『幻想の手』を生み出した。
ただ以前と比べ、筋肉質で鋭い爪を先端に宿している。
(アレは海龍だ)
竜人を海龍に見立て気を引き締める。
幼い日、クリスを助けにマグナへ走ったときのことを! あの必死だった戦い方を思い出せ! 脳に強く命令を下した。
幻想の手を広げたアインが疾走する――ッ。
「よもやそう来るとはな」
竜人はそう言って、アインの身体に向けて鎌を振る。
間違いなく致命傷を負うだろう一撃だが。
「なに――ッ!?」
幻想の手が二本重なりアインを守って見せる。
竜人はそれを見て戸惑った。
「何故あれで儂の斬撃を守れておる……?」
いくら幻想の手と言えど、そんなことは出来るはずがない。
だが現実問題、アインはやってのけている。
竜人は答えが得られぬまま、距離を詰めてくるアインを見た。
「俺にだって意地があるし、何もできないまま終わるつもりは無いッ!」
「お主は昔から変な奴じゃったが、まったく! 今は何をして儂の攻撃を……ッ」
ついに二人の距離が幻想の手が届くほど狭まる。
アインはこの時だけ、心がすっとする想いを抱く。
「やっと悔しそうな顔しましたね」
やりかえせた、そんな達成感があった。
「ふ、ふんッ! 別にお主の勝ちが決まったわけでは――」
「後悔してもらいます。一撃食らったら負け……なんて条件にしたことをッ!」
「それは勝ってから言うべき言葉じゃな!」
竜人が鎌をぐっと握りしめる。
防がれようと、残っている四本の幻想の手も切断すればいい。特に難しいことはなく、ただ軽く鎌を振り回せばそれで済むことだ。
それでも竜人は鎌を振り回すことをしなかった。
「タネを暴きたくて仕方ないのう」
彼女が指をパチンと鳴らすと、彼女を囲むように円状の壁が現れる。
ガラスのように透明だ。
接敵したアインの幻想の手が衝突する。
「ぐぅっ……!?」
アインがうめき声を漏らす。
ギ、ギギギッ、軋む音が周囲に響き渡っていく。
幻想の手が壁を破壊しようと膨張し、人知を超越した腕力で掴みかかっていた。
徐々に小さくもヒビが入っていく。
「なるほど、そういうことじゃったか」
すると竜人がほくそ笑んだ。
「大胆不敵と言うか猪と言うべきか……随分と面白い作戦を選んだもんじゃな!」
「は……ははっ! こんなすぐに見破られるなんて思いませんでしたよッ!」
「考えるはずもなかろう! まさか幻想の手に、残ったすべての力を込めておったなんてな! 余力はもはや、儂に一撃を与えるためのものしかあるまいッ!」
幻想の手は際限なく強化できるのが利点だ。
だからこそ、余裕だった竜人が驚くだけの腕力を発揮している。
パリ、パリ……。
壁がついに崩壊していく。
もうすぐ、もうすぐだ。
この壁を破壊して、彼女に一撃加えればいい!
「アァァアアアアアアアッ!」
アインの気迫、そして闘気が増していく。
丸い壁はほぼ全方位から力を加えられ、ついに。
「まさかこの壁すらも……とはな」
金切り声のような砕け散る音を奏で、ついに壁が砕け散る。
その刹那、三本の幻想の手が刹那に竜人に襲い掛かった。
「じゃが届かぬよ」
が、神速で振り下ろされる鎌が新たな壁だ。
一本の幻想の手を残し、すべてあっさりと切り刻まれた。
とは言え竜人は解せなかった。
「一本だけ残したのが分からんな。どうせなら全力で儂を抑えればよかったものを」
「いえ、さっきの攻撃で分かったんで」
「分かったじゃと?」
「二本あれば、一撃だけなら耐えられるんですよ……ッ!」
アインはにやりを笑うと、背中からもう一本の幻想の手を生み出す。
「なっ……お主、まだ余力を!?」
「余力なんて残してませんッ! 貴女が予想した通り、俺は全ての力を幻想の手に込めていた!」
「じゃったらなぜ! どうして新たに召喚できたッ!?」
言葉の矛盾点を竜人が尋ねると、アインはしてやったりと口角を上げた。
「力を込めたからって、召喚しておく必要はありませんから」
体内に隠していたのだと、アインはそう答えた。
彼はすぐに二本の幻想の手を一つに束ね、自身の身体を守りながら突進をつづける。
「これで俺の勝ちだァァアアアッ!」
咆哮を上げたアインの幻想の手が、竜人の鎌によって容易く切り刻まれる。
そして次の攻撃が届く前、アインの方が一歩早く腕を振りかざす。
「たかが一撃の勝利条件。それでも儂がここまで追いつめられるとは思わなんだ」
が、竜人はの顔にまた余裕が生まれた。
勝利を確信した、アインからしてみれば冷たい顔だ。
そして、アインは真っ暗闇の奈落に落ちていくように、竜人との距離が離れて行く。
「え……?」
彼女が何か魔法を使ったのかと思ったが、違う。
「時間切れじゃ。それと――」
アインは全身をだらんと脱力させた。
「お主の体力切れじゃ。儂に一撃与えるための余力は、お主が思っていたよりも残っていなかったようじゃな」
後は何も尋ねることは出来なかった。
距離は離れて行くばかりで、アインは遠ざかる竜人に腕を伸ばすことすら叶わなかったのだ。
◇ ◇ ◇ ◇
「待ってくださいッ!」
目が覚めた時、アインが居たのは自室のベッドの上だ。
天井に手を伸ばして大きな声で叫んでしまったようで、現実に戻されてしまったことをすぐに理解する。
はぁ、ため息を吐いてすぐ。
「アイン、大丈夫ですか?」
頭の上から声がした。
そして、頭の後ろに当たる柔らかな感触と、暖かいぬくもりに気が付かされる。
目を向けると、そこに居たのはネグリジェを着たオリビアが居た。
「あ、あれ? お母さま?」
「ええ、私ですよ。うなされていたようですけど……大丈夫ですか?」
「……すみません、大丈夫です。でも、どうしてお母様がここに?」
アインが尋ねたところ、オリビアは穏やかな笑みを浮かべてアインの頬を撫でる。
「部屋の前を通りかかったら、アインの声が聞こえたんです。心配になっちゃって、こうしてアインの下に来てしまったんですよ」
戦いの最中のことだろうか? アインは申し訳なさそうに頬を歪めた。
「その、夢見が少し悪かったみたいで」
嘘だが本当のことを言っても信じられる話じゃない。
オリビアはアインの言葉を疑うこともなく、優しくアインの髪を撫で「そうだったんですね」と声を漏らす。
「次は良い夢が見られるように、このままお休みしましょうか」
「え……えっ!?」
このままと言うと、オリビアの膝の上で。
「私のお膝は眠りにくいですか?」
「控えめに言ってもとてもいいと思いますけど、気恥ずかしいと言いますか……」
「ふふっ。ちゃんとお休みできるなら大丈夫。心配いりませんよ」
有無を言わさぬ器の大きさと言うべきか。
オリビアが愛情を向ける相手はアインだけとあって、その愛情はとてつもなく
人に見せたい姿ではないが、彼女相手だと、ひたすらに甘えたくなるような魅力が押し寄せてくるのだ。
「……悔しい夢だったんです」
このまま寝ると明言せず、アインは話題を変えた。
「勝てなくて、最後もスッキリしない終わり方でした」
「あらら、アインったら夢の中で戦っていたんですか?」
「はい。実はそうなんです」
「夢の中ではゆっくりしていたほしいのだけど……アインらしくて可愛らしいですね」
くすくすと艶やかに笑うオリビアの言葉は、いつもと変わらぬアインへの愛に溢れていた。
すると、不意に静寂が訪れる。
二人とも何も言葉を発することなく、数分に渡って沈黙を交わし合う。
「さぁ、ゆっくりと目を閉じてください」
ゆっくりと伸ばされたオリビアの手が、アインの目元をそっと覆う。
アインは甘い香りに包まれ、驚くほどの落ち着きを与えられた。
意識を手放したのはそれから間もなくのことだ。アインはここ最近一番の、深く穏やかな眠りに陥っていく。
翌朝にアインは目を覚ました時、膝枕をしたまま眠っているオリビアを見る。
身体を起こしたアインは彼女の身体をベッドに倒すと「ありがとうございます」と小さい声で言う。
つづけて、静かに毛布を掛けて寝室を後にしたのだった。
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