些事雑談 古着、薬草、惚れ薬(性的……か?)
当日は見事な晴天だった。
バザーは街の大広場で行われる。
元々平民生徒たちの学級や、あまり裕福でない身分から教師になった者達が備品や消耗品を贖うためにはじめた催しだったというが、いつの頃からか街の人間たちが出店側に混じり、今となってはバザーと言うよりもフリーマーケットの性質の強い、街主体のもよおしごととなっている。
学生たちに確保されているのは全体の三分の一ほど。そのうちで本来は採取物を並べ、売上はクラスのものになるというブースには本年はいくばくかの提供品が並べられている。本来の広さなら全体の半分が学院の出店場所だったと言うからだいぶ縮小されているのだろう。
残りは街の人間と、それから下級貴族クラスの使用人達だ。
学院の催し、というのを免罪符にした使用人たちの小遣い稼ぎが最初だった、とも、下級貴族の子弟達のクラスもバザーに参加していた時期がある、ともいうが、この催しでは伝統的に下級貴族の子弟達、もしくはその使用人たちの不用品も放出される。
さすがに下級とはいえ貴族の子弟が売り子の真似事をすることはなく、彼らの使用人が売り手になるが、出す品物を決めたり選んだりするのに関わる下級貴族の子弟もいくらかはいるという。
貴族のお古が手に入る機会は中々レアで、また、今や平民生徒たちの大多数も商家の人間で、平均よりずっと裕福な者が多い。彼らの出す不用品を目当てに近隣の街からも客がやってくるため、バザーの日には街には種々雑多な人間が溢れ、ちょっとした街の名物行事のように扱われていた。
広場にて、参加者たちは卓や敷物の上に好き勝手に品物を並べ、てんでに客を呼び込んでいる。
「ええと、そちらは
スサーナはお客から代金を受け取ってうやうやしく礼をし、それからうーんと背を伸ばした。
彼女が売っているのは端切れで作ったちょっとしたバッグやミニポーチ、それから古着を解いて縫い直したりした服に、思いつきで作ったパッチワーク布で作った子供用のチュニックなどだ。
針と糸を使うものはもしかしたら良くないかもしれない、と、例の事件のあとで流石に少し悩んだスサーナだったが、レミヒオが「ただ針と糸を使って縫い合わせたりしたものでなにかが起こったというのは聞いたことはない」と言ったため……第一、氏族が魔法を使うつもりで念を込めたり、使い手がそう願ったりしなければ特別な形ある刺繍であったとしても普通なにか起こることは無いはずだ、と太鼓判を押したので安心して色々手を出したものである。
吊るし売りの服は一般的ではなく、基本的にいい服は仕立て売りになる文化圏ではあるものの、ご家庭でお母さんがこしらえた成れの果て、古着を売り買いするのはそう珍しくないしいけるいけるの気持ちでスサーナが縫いほどいてデザインを変えたり端切れから縫ってみたりした服たちは、古着の割に結構高めに値付けをしたのにそれなりの頻度で売れ、結局昼過ぎまでスサーナはずっとお客の相手をし続けていた。
「まさか大物から売れていくとは思いませんでしたね……。ええと、服系は大体捌けたかな。あとは小物……。そろそろ一休みしましょうか。」
広場を眺め回して見える範囲にも古着を山にして売っている店はいくつかあり、さくっと捌けたのは中々にラッキーだったなあ、とスサーナは思う。
――おばあちゃんや叔父さんの手ならともかく、私じゃまだまだ素人に毛が生えたような出来ですもんね。早めにお客さんに目に止めてもらえてよかったなあ。
ちょっとした工夫として、木の板にボロ布を巻いて縫い固めて作ったトルソーに着せて飾ったりしたのが効いたのかもしれない、とほくそ笑みつつスサーナは休憩に入ることにした。
隣の店の人に声を掛けて品物を並べた卓上に布をかけてから出かける。
通り道の店をひやかしながら歩き、いっそ
ハーブを口を巻いて開いた麻袋や木箱に入れてコップで量り売るのと、木綿布に包んでそのまま煎じられるようにしたものを平箱に並べて売るつもりだ、と朝ミアは言っていた。
行ってみるとミアは何故か八弦琴を抱えており、スサーナを見て満面の笑みを浮かべて手を振る。
「あっ、スサーナ見て見て!」
「ミアさん、どうしたんですかその八弦琴」
えへへー、とミアは嬉しそうに笑い、八弦琴を撫で回した。
「誰か練習をやめちゃった人がいるみたいで、貴族の子のとこからの出物だよ! ちょっと高かったけど作りがしっかりしてるし、いいでしょー」
「良かったですね、ミアさん。でも、いい服を買うのでは?」
その言葉にミアは一瞬視線をさまよわせた後に力強く言う。
「あのねスサーナ、買い物って、一期一会だと思うんだ!」
「さ、さようで。」
「まあうん、残りのハーブが売れたらきっと買えるぐらいにはなるし……そうだ、お店番しながら演奏したらちょっとはお金の足しに……」
それからなにやらぶつぶつと悩みだしたミアにスサーナは苦笑し、もしいい服がなかったら私で良かったら古着を縫い直すぐらいはしましょうか、と提案した。
古着は物によってはボロボロにほつれていなくてもそれなりに安い。
紡績機も力織機も一般化していない以上、織り布は財産、という概念は当然存在するものの、特にエルビラは性質上それなりに裕福な都市民が主体のため、流行遅れの古めかしいデザインだったり仕立てを失敗したりしたような服はそこそこ安価に手に入るのだ。今回スサーナが縫い直して売った服もその手のもので、特にお祭り気分につられて安値をつけがちなこの手の催しなら、いくらかハーブが売れた程度の売上で十分買えるはずだった。
ミアはうっと声を上げると、
「いい服を見つけてもそれはそれでお願いしたいかも……」
そう呻いた。
「そんな深刻な顔で仰ることではないのでは」
「だってー、だってー、どっちも欲しいもんー……スサーナが入学式の時縫った上着めちゃくちゃ良かったもん……中身があのジョアンだっていうのにかっこよく見えたんだよ!? あのジョアンだっていうのに!」
拳を握って力説するミアにスサーナはぷっと吹き出す。
男兄弟の多い家だったと言っていたせいか、ミアは結構ジョアンには気安いと言うか、あたりが強いというかそんなところがある。
「それは光栄というか……いや、あの呼ばわりはどうかと思いますよ……? ジョアンさん、ああみえて結構顔立ち整ってらっしゃるじゃないですか」
「まあそうだけど……でもいやしんぼだし。良物件とは言い難いよ! ここはしばらく言い続ける予定だからね!」
「なにか喧嘩でもされたんですか」
「 うん! 喧嘩とはちょっと違うんだけど、謝ってもらうこと謝ってもらってないからね! しばらく評判は下げていくつもり! ほら、みんなそろそろ彼氏が欲しいって話をしてるじゃない? あ、スサーナはお昼とかにあんまりいないからわからないか。」
「そんなことが」
「うんうん、みんなホントは採取実習でこう、そういう……組み合わせ決めとかでなにか素敵なことないかな、みたいな話してたんだけど、今年はそれが無かったでしょ。だからまずは秋の観劇会をペアで見るのが目標だって」
「ははあ……皆さんいろいろ考えてらっしゃる。」
入学から二月してそれなりに学院に馴染みだした子供たち、特にその手の話に触れる機会の多い商家の少女たちは「結婚は最終目標としてとりあえず彼氏が欲しい」という趨勢が高まりだしている。それはどうやら秋にあるという観劇会で男子にエスコートされるとステータスだ、ぐらいの理由らしいのだが、少女としては重大なものなのだろう。
その際の相手はどうも狙うべき貴族の子弟ではなく、同じ平民のクラスメイトでも良いらしい。
どうも「観劇会を二人ペアで」というのは平民クラスだけの慣習ではなく、ミアのいう噂によれば貴族女子たちもそれなりにはしゃぐようなイベントであるらしいのだが、普段上の貴族の教室に行っており、商家女子たちと話す機会は少なく、当然不特定多数の貴族女子たちと雑談することもないスサーナとしてはめっきりその手の話題にふれる機会はなくのんぽりと暮らしてきたので、まったく部外者めいた気分である。
――ああー、そう言われてみれば? 浮ついた雰囲気の方が増えたような? いやどうなんでしょう。そういえばよく恋バナしてらっしゃるクラスの子達は最近元気な気はしますね……?
採取実習をそういう風に捉えて楽しみにしている人がいるとは思っても見なかったし、皆の様子を思い返してみてもふわっふわなスサーナだ。なんとなく恋バナ好きな商家の女子達が目を輝かせていた気がするばかりであるが、それはそれでいつものことであるような気もした。
「それで彼氏が欲しい子とか今結構いるんだけど、そこに向けて悪評を流していこうかなって。よし、これはその第一歩にしよう。ジョアンなんかあのだもん。えっとー、普段から余計なことしか言わないじゃない? あと目つき悪いし、態度も悪いし、髪の毛なんか全然整えないし、朝ついてた寝癖が夕方までそのままだったりするよ。あのでいいよ」
「ああー……まあ結構な毒舌でらっしゃるのは確かに……。人の顔をじーっと睨む癖は……。勉強のし過ぎで遠くのものが見えづらくなってるんじゃないかと思うんですよね、あれ……」
「ロウソク一本で夜勉強するの止めなよって言ってるのに自分だけは大丈夫だとか言うもんね」
「あー、またそんな事してらっしゃるんですか。前忠告したんですけど、『油代がもったいない』って……」
お客が来ていないのをいいことに、ひとしきりジョアン談義などをしていると、
「おい」
後ろから低い低い声がかかった。
「お前らな……何の話をしてるのかと思って来てみたら、人のこと好き勝手に言いやがって……」
ぴゃっとスサーナとミアが振り向くと、地を這うように目付きの悪いジョアンが腰に手を当てて立っている。
「あっ、ジョアンさん……聞いてました?」
「聞いてた。」
「ジョアン、こういう時ばっかり耳ざといよね……」
あちゃあ、と目を見合わせた女子二人にジョアンが目を三角にして文句をつけた。
「こういう時ばっかりは余計だろ!? なんだよ何か俺に恨みでもあるのかよ」
「恨み……あるよー。昨日スサーナが焼いてきてくれた焼き菓子」
「うっ」
「教室から帰る時に、今日遅くなるからわたしの分残しといてね、って言ったのに全部食べちゃったんだよね。しばらく根に持っても許されると思う」
「そんなことしてたんですか」
「いや、しょうがないだろ……魔獣の外見はどうだとかどんなふうに動いたとか詳しく教えろって警吏のオッサンたちがしつこくて夕飯食べそびれたんだし……昼も食べてなかったし……」
一転弁解口調になったジョアンをミアがジト目で睨んだ。
「だからって6つあったの全部食べちゃうなんて、評価最悪でもしょうがないと思うんだよね……謝罪もお詫びもないし……」
「6つあったかどうかなんてお前……」
「私が教えました」
「挟んであるジャムが二個ずつで変えてあるって言うから、ジョアンが同じのうっかり食べちゃってないかなって思ってたら、それどころじゃなく全部」
「ウッ」
森で魔獣に出くわしてからそろそろ一週間。ことの発端になった三人と、それから魔獣に跳ね飛ばされて気絶した、というジョアンは警吏の詰め所に呼ばれて色々魔獣について話したりしているようだった。
スサーナは全然呼ばれてもいないが、どうもミアと一緒に最初に帰った組カウントをされているようで、面倒がなくていい。
ともあれ、その理由でもミアは納得しなかったようで、焼き菓子、と恨みがましく呟いている。
形勢逆転。すっかり腰が引け気味になったジョアンはくそっちょっと待ってろと叫ぶと自分の持ち場に走り、素焼きのコップを2つ手に戻ってきた。
「詫び。これでいいだろ!」
「ええー。これがスサーナの焼き菓子と等価?」
「なんだよ。一杯1アサスで飛ぶように売れてるんだぞ。なみなみ二杯分は入れたから2つ合わせれば貨幣価値的には同じぐらいだろ」
「うわあ、暴利だ……。はちみつ採ったのほとんどネルさんだし、レモン採ったのスサーナじゃ……」
言いながらもミアはコップを受け取る。スサーナも目の前に押し付けられたコップを受け取った。
「あ、私も貰えるんですか。得した。でも良かったですねえ、売れ行きよくて。」
「まあ……どうせお前にはちょっと渡さないととは思ってたし……」
「わあい」
夢のレモネード売りには実のところ一つ難点があった。
レモンを漬けた蜂蜜を水で割ったものを壺に入れて汲んで売る、というやり方でいく予定だったのだが、そうなると水を運ぶのが非常な手間になる。
そこでスサーナがジョアンに貸したのがいつも持ち歩いている水筒である。
これで井戸との往復なしにその場で蜂蜜を割ることが可能となり、しかも冷たい。
スサーナに白糖を貰ってがばがば使うのは渋ったジョアンだったが、自分も島では無制限に飲んでいた水となるとまあいいかな、という気持ちになったらしく――腹痛を恐れた可能性もある――おとなしく水筒の水を使うことを了承した。
それで晴れてジョアンのレモネード屋が成立した、というわけだった。
そういうところ義理堅いですよねえ、と思いつつスサーナはありがたくコップを啜る。やや癖のあるはちみつの甘味とレモンの風味が冷たく喉を流れていって、熱く乾いた昼にはなるほどよく売れるだろう、という爽やかさだ。
「まあ……スサーナの焼き菓子には劣るけど。こののどごしの良さに免じて……あの扱いをクラスの女子に広めるのは止めておいてあげよう」
「美味しいですねえ。やはりレモネードは大正解ですよ」
「なんだよあの扱いって……」
「そこは聞いてらっしゃらなかったんですね……」
「人のおやつを取ったことを反省しない人の真実を彼氏を探す女子たちに流す、とかそんな感じだよ。焼き菓子の恨みは深いんだからね」
「……お前ら、ほんっと馬鹿な話してたんだな……」
ジョアンが呆れたように目を眇める。
「大体なんだよそれ。別に俺はそんなもの広められても痛くも痒くもないからな」
「えーっ、そう?」
会心の嫌がらせだと思ったのに、と口をとがらせたミアをジョアンはハッとせせら笑う。
「惚れた腫れたなんて馬っ鹿馬鹿しい。俺は法学者になるんだからそんなのにうつつを抜かしてる暇ないの」
「おお、ジョアンさんらしい。」
「えーーっ」
わちゃわちゃ話していると、横手からああいたいたと声がかかった。
「あ、ジョアンいたいた」
見れば先日森に勝手に行った三人組の一人、オビだ。
「なんだジョアン、そういうの興味ないんだ。」
「オビ。なんだよ、あるはずないだろ」
「もっと人生楽しんだほうがいいんじゃね、いや俺もまだよくわかんないけど……」
「そんなもんどこが楽しいんだよ」
オビはへー、と言いながら手にした袋を振る。
「そっか、んじゃあお礼は物より売上分けたほうがいいな。」
「それ、採ったっていう珍しい薬草です?」
スサーナはその言葉に興味を惹かれ、オビが持っている包みを目線で追った。
珍しい薬草とやらに少し興味があったので三人組のスペースをちらりと覗きもしたのだが、それなりにポピュラーな傷に効く薬草、ウラジロイチヤグサやらハアザミやらを干したものが卓上に並んでいるばかりで、そんな森の奥で採り、売上で一年暮らせる、などというようなものは無いようだったのだ。
「どんなものなんでしょう。そんなに珍しい薬草、出てなかったですよね」
「お、興味ある? うん。珍しいもんだから。イザンの秘薬、って札を出して……あ、これランドの兄貴の名前なんだけど……ピンときたやつが声を掛けてくるだろ、そしたら木札に名前を控えて後で売るの」
オビの返事にジョアンが目を眇めた。
「何だそれ、変な売り方するな……。っていうか怪しくない?」
「ちょっとぐらい怪しい売り方のほうがハクが付くんだよ。 あ、禁制のものとかじゃないぞ。えっと、ジョアンはいらないみたいだからスサーナさんとミアさんにやるよ。」
オビが袋を探り、スサーナとミアの手の上にぽろぽろと数粒落としたのは半ば乾かした金色がかった黄色の果実だった。木の実というより草の実のようで、ヘタから外したプチトマトが一番似ているだろうか。
「これは?」
「えーとね、これは
「はいはい」
スサーナが言われたとおりに果肉をレモネードに落とすと、オビはカップを取ってジョアンに手渡した。
「ん?」
「はいジョアン、一口ぐっとやれよ」
「おい待て。毒とかじゃないのかこれ」
「毒じゃねーって。ただ飲み干すとあら不思議、飲ませた相手に一目惚れを」
ジョアンが黙ってオビの頭の上でカップを逆さにひっくり返した。
「冷てえ!!!」
「なんだよそれ絶対効かないやつだろ。っていうか、そしたら俺がお前に惚れるってことになるんじゃないのか、なあ」
「怒るなって。それが実を潰して飲み物に混ぜた相手に惚れるってやつだから……ああっまてやめろやめて頭に擦り込むのやめて」
「馬っ鹿馬鹿しい……明らかに迷信じゃん」
憤懣やる方ないという様子で種と果肉の混ざったレモネードをオビの頭髪にごりごりと刷り込もうとするジョアンの手を避けながらオビが声を潜めてみせる。
「や、そこまで便利な効果は迷信だけど……それがさ、飲んだ後に一時的に異性が魅力的に見えてドキドキするぐらいにはなるらしくて。まあメインの薬草と一緒に使って効果を上げるぐらいの使い方するらしいんだけど……」
「なんだよメインって。今の話の関連だとするとめちゃくちゃろくでもないやつじゃんか」
「はいスサーナさん。これが
「なんで俺が実験台になるの前提なの? なあオビ。」
「えっ、人生楽しめ的な……?」
ころんとした球根めいたものを手の上に載せられてスサーナは目を瞬いた。
「えっ、お高い……頂けるんですか? ええと、これはどういうものなんでしょう。栽培で増やせそうな見た目ですけど」
希少植物の栽培と大量生産は価値を毀損するし商業価値の暴落にも繋がりかねないと理解しつつ、スサーナは一瞬、それだけ高いものなら養殖が可能なら、と取らぬ狸の皮算用をした。
金銭価値に気を取られているうちにオビが口の横に手を当てて、そっと言う。
「立てる。」
「たて……?」
一瞬あと、ミアの手にあった飲みかけのレモネードのカップをひったくったジョアンがオビの顔面に中身をばしゃんと叩きつけ、顔を真赤にして叫んだ。
「お前もう戻ってろよ!!!!」
「あははは、悪い悪い。そういうものだから大抵の場所だと全滅してるらしくて、娼館通いの兄ちゃんたちに高っかく売れるんだよ。スサーナさん、それ好きにしていいから……あっ待て、首絞まる。絞まる。」
肩を怒らせてオビの首根っこをひっつかみ、ズルズルと引きずっていくジョアンをスサーナとミアは呆然と見送り、それからそれぞれ手の上にのったものを見て顔を見合わせた。
「ミアさん、どうしましょうこれ」
「ううん……
貰ったはいいが、どうしたものか。
高く売れると言っても売り先も思い当たらない。
スサーナとミアはもう一つ顔を見合わせ、ポケットに入れてとりあえず忘れておくことにした。
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