第50話 神帝暦645年 8月24日 その39
「うふふっ。 私も大した学がないので、なんとも言い難いのですが、例えば、
ふむ。なるほど。高級料理店ってのは、一握りのエルフ族であり、庶民向けの料理屋や
「なるほど。さすがアマノだぜ。そう言われると、馬鹿な俺でも少し理解できたわ。ヒデヨシは息子を微力ながらも、国の発展の
「ウキキッ。例えがなかなかに秀逸なのですよ、アマノ殿は。料理屋に例えてくるとは思いもよらなかったかったのですよウキキッ!」
「ネズミは高級天かすのみに生きるにあらず。
「こっしろーくん。あたしはこっしろーくんが言いたいことがよくわらないよー。そもそも、高級天かすって、何なのー? 聞いたことも無いよー?」
ユーリが草の上で大の字に寝ころびながら、胸元のポーチから、ご高説を垂れる、こっしろーに文句を言うのである。
「お、おかしいでッチュウね。高級天かすとは、
こっしろーの言う通り、
しかし、
「ごめんねー。こっしろーくん。
「くっ。つらいでッチュウ。ぼく、
「こっしろーくん。諦めてー? きみは、団長に金貨400枚(※日本円で約4000万円)で買い取られたんだよー? もし、
「き、金貨800枚でッチュウ!? なんで、倍もの借金をぼくは背負っていることになっているんでッチュウ!?」
「まあ、ニンゲンの社会だと、銀行や金融ギルドから融資されたら、その2倍を支払わないといけないってのは常識だからなあ。だから、よっぽど、将来の見込みが立っているような奴か、商才溢れるような奴じゃないと、銀行や金融ギルドから、融資してもらいたがらないんだよなあ」
「ウキキッ。それでも、銀行や金融ギルドは、利子が借りた金の2倍より上にならないように国が指導しているだけ、マシだと言うものですよ。ちょっと裏界隈の金融会社に金を借りようものなら、利子は借りた金の10倍を請求されてしまいますからねウキキッ!」
本当に世知辛い世の中だぜ。割りとマシな銀行や金融ギルドでも、借りた金の利子分を半年も払えなければ、店舗ごと、差し押さえされちまうしなあ。アマノの祖母は庶民向けの料理屋を営んでいたが、今世紀最悪と言われた大不況【
「うふふっ。ツキトが冒険者稼業を完全に引退したならば、余生は、私と庶民向けの料理屋を開きたいと、プロポーズの時に言ってくれましたが、果たして、上手く経営できるものなのでしょうか?」
「まあ、今の就職氷河期から考えれば、あと10年は、無理そうだよなあ。ってか、そもそもとして、団長が俺とアマノを放逐してくれること自体が無さそうなんだよな! あいつ、俺を死ぬまでこき使うつもりな気がするんだよ!」
「お父さん、いい加減、諦めた方が良いよー? あたしも最近、薄々、気づいてきたけれど、団長はお父さんに安泰の引退生活を送らせる気は無いと思うんだよねー?」
うっ。娘の視点からも、団長は俺を死ぬまでこき使うつもりだと思っているのか。こりゃ、
「うふふっ? 団長は
「あああ! A級冒険者の団長にそこまで期待されているのは、嬉しい半面、最悪な気分が半面だわあああ! 俺はアマノとゆっくり、イチャラブずっ
「ウキキッ。ずっ
「言うな! それを言うんじゃない! そりゃ、俺はただのC級冒険者だから、これっぽちも期待されてないけれど、アマノはバリバリ最前線のB級冒険者だったんだ。俺とアマノの間に産まれてくるであろう子供が、冒険者としての才能をヒト並み以上に持っていたら、ユーリと同じ轍を踏まされることになっちまうってのは、わかってんだよ!」
「うわーーー。お父さんだけじゃなくて、お父さんとアマノさんの間に産まれてくるであろう子供の人生まで、団長に握られているのかーーー。じゃあ、もしかしたら、団長が100歳まで長生きすることになっちゃったら、あたしの将来産まれてくるであろう、子供たちも、団長の魔の手に脅かされることになるってわけーーー!?」
「ああ。団長が100歳まで生きることになれば、間違いなく、そうなるだろうな。いや、待てよ? 団長が100歳まで生きるってことは、もしかして、俺とアマノ、そして、ユーリの孫まで危険じゃないのか!?」
「ウキキッ。ツキト家はなかなかに過酷な運命、いや、宿命を背負っているのですよ。その点、わたくしはそんな心配なぞしなくても良さそうなのですよ。うちの息子は、わたくしとネネに似つかず、魔力の桁が低そうなのですよ」
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