遠隔解析


「アイピスの特殊な体細胞操作プログラミングのロジック、余すところなく解析してあげるわ」


 ネイピアはそう呟く。

そして、ラジアナ以上とはいえあまり豊満とは呼べないサイズの胸の谷間からタロットカードを取り出した。


それから、ネイピアは目を瞑り神経を集中させた後

なにやら占いをはじめた。


 占いの間、ネイピアを取り囲む様に沢山の数式や図形が書かれた球状の帯が現れ、その帯の表示は常に刻々と変化している。


「ネイピア、まだ〜?」


「もう少しだから、あなたはそこでじっとしていなさい」


「は〜い」



五分経過……。


十分経過……。


三十分経過……。


「ねえ、ネイピア?

いつまでかかるの?

いつもだったら3分くらいで終わるじゃん……」



「ラジアナ、少し黙ってて……」


「う、うん」

ラジアナはネイピアの真剣な口調に漂う不穏なニュアンスを感じとり推し黙った。


「解析は完了よ。

だけど、訳あって作戦変更。

私はそのアイピスって娘とすぐに話がしたいわ。

 だからラジアナ?

あなたにお願いがあるの」


「あたしにお願い?

お願いって何?」


「テレパシーのチャンネルを私の周波数に合わせてもらえるようそこにいるアイピスに頼んでもらってもいいかしら?」


「いいけど、アイピスはあたし等が今から戦おうとしている相手だよね?

 あたしがあんたのお願いを取り次いだとして、あいつまともにとりあってくれるかね?」


「大丈夫よ。

だって、私はアイピス自身の弱点も、そして致命傷を与える武器も既に揃えているのだから」


「わかったよ。

じゃあ、あたし今からアイピスにとりあってみるから。

アイピスから直接テレパシー入るまでちょっと待ってて」


「わかったわ。

出来るだけ早めにお願いね」


「了解道中膝栗毛!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る