第54話「悪魔の罠」前編(改訂版)
第十四話「悪魔の罠」前編
――少しだけこの世界、”
――
この地に国を生んだ神々。
”
その末裔として”
それ以降、歴代
――時は流れ……
満ちた月もいつかは欠けるように、権力もまた虚ろう。
それが現在にまで権勢を誇る、東の大国”
無論、事の真偽は定かでは無い。
ただ、それを言うなら
そして……”唯一王家”で在るが故、臣下には用いられていた”姓”を持たなかった
斯くして”
――更に時は流れ……
結果、
その後も島国”
定期的周期で世界の本質が完全に切り替わってしまう怪奇現象。
まるで時間軸が捻れてしまたかのように、平行世界へと世界全体が迷い込むように……
”
これが後に云われる”世界の改変”である。
何故このような世界に変貌したのかは誰にも解らない。
一説には、恐れ多くも神の名を
また一説には、
唯々憶測が憶測を呼び、噂はまことしやかに広がっては
幾十年も幾百年もそれは繰り返され、
――翻弄される新世界の中で人類は秩序を失ったのだ
――
―
――
「……」
見目麗しい顔立ちに深淵の闇を携えた
時間軸は少しばかり……
”近代国家世界”での六大国家会議の二日ほど前、”戦国世界”の最終日に遡る。
それは”
過去にお互いの国益の為、打算を以て何度か結ばれた平和条約は、その性質上長く続いた試しは無いが、それでも騒乱が続く戦国乱世においては平穏が約束される貴重な時間だ。
……と、
「……お優しい陛下らしい判断だわ」
腰まで届く降ろされた緑の黒髪は緩やかにウェーブがかかって輝き、白く透き通った肌と対照的な
まことに
対峙する者を
彼女の恐ろしいまでに
「…………」
現在、
――”
自らが仕える王であり、叔父である
――
仮初めであったとしても、東の大国”
その間に、敵対する宗教国家”
だからこそ――
「でも……」
暗黒の美姫は独りポツリと零す。
彼女は懸念を抱く。
問題はその話をお膳立てした人物が
王太子たる
ならば、この降って湧いたような話に裏があると考えるのは決して杞憂とは言えない。
そして案の定、その”歴史的会談”前に問題は発生したのだ。
病を押してまでこの地に足を運んだ
これが
――王太子、
などとは、軽はずみに言えるはずも無い。
まして、それには確たる証拠も無いのだから尚更だ。
「……」
またも
実は、証拠……とまでは言えないが、彼女の元には幾つかの情報は入っていた。
”
それは、伝統的に王家の特定の人間を護衛することを命じられた”特殊部隊”を転用した部隊であり、その特殊部隊の現在の主は
以降、
それは参謀長として、策士として、情報戦が
そして今回、事前に情報部隊の一人、”
――”
それは
つぶさな内容までは解らないが、本来は敵陣営であるはずの二人が極秘裏に接触とは……
――”
なんとも
無論、警戒を怠る愚を犯さない
野心家の
考えつくのは……
王位継承権を所持する者が多数在る
その為に邪魔な他の継承者……恐らくは”
だとすれば、致命的な失敗を犯させて失脚させるか亡き者にするのが常道だ。
そして、そうならば、恐らく今回は……後者であるという事。
何故なら、今までも”
何より
己が力と権力で相手を粉砕し、支配する……
そういう覇者たらんとした性質こそ、かの”
とはいえ……
アレでいて慎重さと狡猾さも所持するあの男が最終的に決断するには、あくまで
「……」
――後者を実行するには、私を何らかの理由で誘き出して始末するのが適当だろう
内外的にも納得させられるように”謀叛者”にでも”でっち上げる”のが最良といえる。
そしてその場で王も誅すれば、自動的に王位は王位継承権第一位の
「…………いえ、それは流石に」
”王殺し””親殺し”の危険を冒してまでそんな方法を採るとは……
「…………」
流石に”
にしても、ならば今回の降って湧いた様な”和平交渉”がその陰謀に結びつくのは可能性としては十分であるが……
タイミングの悪い事に、三日前から病状がやや悪化した
「無用に父親に手をかけるほど粗野で愚かな男とは思えないけれど……」
どちらにしても、王がこの状態では、今日のところは何かを進言するのは無理だろう。
権力の独占のため血縁者の血を流し、必要ならば親子でも殺し合う……
戦国乱世には珍しくない話ではあるが……
――”世界の改変”
――翻弄される新世界の中で人類は秩序を失ったのだ
――
―
――
「……」
見目麗しい顔立ちに深淵の闇を携えた
「だからこそ世界は……人が統べるに値する世界に再編成されなければならない」
腰まで届く緑の黒髪は緩やかにウェーブがかかって輝き、白く透き通った肌と対照的な
それは慣例に反して自分を認めてくれた王への真摯。
それは冷酷非情と噂される”
――大道廃れて仁義有り、
とは云うが、なればこその
最も命の危険が高い自らの身を置いても通す、
第十四話「悪魔の罠」前編 END
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