第12話「最嘉と戦場の計算」 前編(改訂版)
↓最嘉と壱と真琴、スリーショットです↓
https://kakuyomu.jp/users/hirosukehoo/news/1177354054892613288
第十二話「
ーー鈴原の後継者指名は当時の
「
その報告を受けた
「……」
たまたま居合わせた私も
そう……私こと鈴原
当時の私は”あーだこーだ”と理由は付けてはいたけど、結局の所、この
「……」
……というか、当時の自分は絶対に認めないでしょうけど……
それは好意……ぶっちゃけると恋愛感情の始まりという類いのもの……
「よ、
その場所は、少し前に
「…………」
――そこには
「あら?ご機嫌よう……
血塗れで佇む独りの少女の姿……
鈴原
「…………」
咄嗟に言葉が出て来ない
何故なら……その少女は……彼の妹は……
「ふふっ」
血塗れ佇む彼の妹の右手には刃渡り五十センチほどの小太刀が握られていた。
――ヌラリ……
ドス黒い
「…………うっ!?」
そして……
そして……その足下には……なんだか解らない形になった肉片?
彼女の直ぐ足元には誰かの手足と思われる部位が散乱し、少し離れた場所に胴体部分が……
全体を見渡せば、大きな塊は四つほど。
細切れは多数が散乱するという……
――惨状だ
「うっ……くっ……」
幼少から人殺しの業と術を仕込まれた私でも……これは結構キツイ……
「な、
不幸な事に肉片に覚えがあったのだろう、
「……ふっ……くすっ」
ーービシィッ!
兄の問いかけに僅かに微笑んだ唇は直ぐに答えを返すことは無く、雑な素振りで虚空に刃を一振りしたかと思うと、少女は刀身に纏わり付いた朱を払い除けた。
「……よし……み」
刃から飛び散った血飛沫は地面に歪なアートを印し、少女はそれからゆっくりと口元を綻ばせた。
「あら?あまりご機嫌麗しくは無いようですわね、
「っ!?だ、だからこれはどういうことだ!?
まるで噛み合わない兄と妹……
最嘉はついに怒鳴り声を上げると松葉杖を着いた足で妹の方へ踏み出した。
「どういうこと?見たまんまです
そんな剣幕の兄に、全く臆すること無く”しれっ”と答える少女。
――これが……試合?
私には一方的な惨殺現場の跡としか見えない……
――いえ、それよりなにより……この嘉深の変わり様は……なに?
「……
「そうですね、芋虫のように無様に這いずり回る
「……」
「あら、ふふふ……難しい顔」
「
噎せ返る程の血の海の中で睨み合う兄妹。
「……」
――これが……これが、あの
――あの時、
「あぁ!そうだ、お喜び下さい
「時期当主……この……この試合?」
「ええ、そうです!これから始まる
嬉嬉として
――ゾクリ!
ここに来て改めて、彼女を凝視していた私の背筋に冷たいものが通り抜けた。
「
「……」
「
今度は一転黙りを決め込む妹に、
――その手は……小刻みに震えていた。
「…………え?……ええ……そうです……ね、とても楽に……そう、楽に、
ーー?!
――なに?いまの……変な間は……
――彼女?何かがおかしい?
「さあ、始めましょう
そんな些細な引っかかりを覚えた私だったが、その場では既に事態は次の段階へ進んでいた。
「ふふっ……」
「……」
納得いかない感情と闘いながら相手を見据える
鈍く光る小太刀の刀身を掲げて
どんな運命の悪戯か……生死の境界線を挟んで対峙する
「まともに戦えない相手を……おまえは……」
「あら……それは今の
小太刀を構える少女の朱い口角が静かに歪んで上がる。
「
ーー!
「駄目っ!!
直後、私の視界から……多分
――はっ速い!
彼女、あの
いえ、あり得ない!そんな事を演じてもメリットは何も……あっ!?
そして私は気づいた。
今更ながら……
”
ギィィィン!
虚を突いた事もあり、アッサリと懐に斬り込む事に成功した
彼の手には、既に抜き身の護身用短剣が握られていた。
「む、無理でしょっ!!」
――トンッ
「っ!」
ギィィィーーン
二人の間に激しい火花が散った!
「くっ!」
そして直後、
だが、直ぐさまそれを放棄した少女は、軽く
「まだです兄様!」
ギィィィーーン!
続けて小太刀の鋭い二撃目を放つ!
ギィィィーーン!
ガキィィィン!
完全に
「ぐっ!」
シュパァァーー!
「……つっ!」
カキィィィン!
なんとか受けきろうと、普段の刀よりずっと短い護身用短剣で振るう少年は、捌ききれずに手足のそこかしこに浅い刃傷を刻まれてゆく。
――無理だ……いくら
使い慣れた
完全に虚を突かれ……
時折ふらつくのは前回の負傷が直りきっていない証拠。
そして……そして……
信じていた
ブシュゥゥゥ!!
深く肩口を切り上げられ、
「
思わず出た叫び声と同時に、私の
鈴原次期当主を決める風習?
主家のしきたりには
――知らないわよっ!!だって……だって、このままじゃっ!
ザシュゥゥッ!
「……え?」
そんな事を全て振り切った私が踏み出すより前に……そうなっていた。
「…………」
――そうなる?
――どうなった?
死した
「……も、もり……よし……にいさまって……やっぱり凄いんだ?……ふふっ……この状況……でも……」
「くっ!これで終わりだ……
「……」
対して地面に両手を着いてへたり込んだ、全身が
――勝負はついた
「…………れ……ないのよ」
「っ?」
聞き取れないほどの……言葉が私の耳に入る。
「後のことは僕にまかせろ、
――
小太刀の柄を握った、血の通いの悪い白い手に力が込められ……
「だから
――だっ!ダメだ!彼女はまだ……
「駄目、
シュバァァァーーー!!
「!」
地面から
再び虚空に
「だめ……なの……よ、だから……”もりよし”にいさん……は……」
兄の反撃を受け一度は膝を折った、見るからに華奢な妹は……
ブルブルと震える足で
第十二話「
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