第17話「Leap」
あれは、俺がガキの頃。
親父に言われて向かった討伐先で、遣り過ぎた事があった。
あの時、親父が怒ったのは、気に入っていた山を消し飛ばしたからだと、今の今まで思っていたが、本当は違ったんだ。
最後に付け加えるように言ったあの言葉、あの言葉こそが真実だったんだ。
「
俺の神気……テメェの喰いモンが減らないように、釘を刺したんだ!
フェリオスが横に振った剣は、傍に居た鷹也の首を
剣から放たれた真空波は、一直線にクロノスに向かい、更にそれを追うように、フェリオスは滑空する。
「なんだと!」
さぁ、どうする親父!
リープか?
リワインドか?
流石に親父でも、判断を迷う筈だ。
術を優先すれば、コイツ(真空波)を
受ければ、俺が畳み掛ける!
「どうする? 親父ーッ!」
すると真空波が当たる寸前で、クロノスが姿を消した。
「だろうな!」
そう言うと、フェリオスは反転し、首の無い鷹也の体に向け、無数の真空波を放った。
あの状況で瞬間的に判断できる最善の選択肢は、瞬間移動しかない!
そう考えたフェリオスは、恐らく次に現れるであろう場所、鷹也の体へ向け、一心不乱に剣を振り続ける。
だが、クロノスの現れた場所は――フェリオスの背後だった。
「お前にとっては、初めてなんだろうが、
そう言って、背後からフェリオスの右肩を掴んだ。
「いつの間に、リープを?」
「リープとは、そう言うものだ」
咄嗟にフェリオスは、ブレイズを唱える。
右手に膨れ上がるブレイズを見て、クロノスは笑う。
「その体勢から、儂の口を狙うか? フェリオス?」
「俺に
「フェリオス、あと一歩、考えが足らんかったな。グレイスにリザレクションが有るのに、儂に無いと思うのか?」
「それを聞いて、安心したよ」
「安心だと?」
「ドラキュラ! 後は、任せたぞ!」
そう言ってフェリオスは、自分の口へブレイズを放った。
俺だけで、何度リープやリワインドを使った?
もう使えないんじゃないのか?
これ以上使えば、奴の神気の方が上回る筈だ。
「な!」
父と同じように、自分の体内も炎耐性が無いと考えたフェリオスは、自分の神気をクロノスに与えない為、自害を選んだ。
フェリオスの体は、一瞬にして灰になり、風に流れ、空に舞う。
風の音が、まるでフェリオスが笑っているように聞こえ、クロノスを苛立たせた。
クロノスは、目を閉じ、鷹也の身に手を
リザレクションによって蘇った鷹也は、再び、クロノスと対峙する。
あいつ(フェリオス)が居ない……やられたのか?
だが、取り込まれた感じはしないな。
クロノスが両手を広げた時、鷹也は分解されたことを思い出し、剣を呼ぶ。
来い!
フェリオスの手から、こぼれ砂浜に突き刺さって居た剣が、鷹也の右手へ転移する。
あの原子分解だけは、喰らってはいけない!
その前に、攻撃を!
「ん? アンチフィールドか……まぁ良い、どの道、こいつ一人で終わらせるつもりは無かったのだ」
斬り掛かってきた鷹也を半身で
「させるか!」
鷹也は、自分の身もろとも、クロノスを切り裂いた。
出来るんだろ?
俺にも、戻れ!
鷹也の切り離された筈の下半身が、上半身へと戻る。
だがそれは、クロノスにしても同様だった。
しかし、それを見たクロノスは、眉をひそめる。
神技を覚えつつあるな……。
「妥協に、妥協を重ねざるを得んとはな……出直すとするか」
クロノスは、瞬間移動で鷹也との距離を取るように遥か上空に浮かぶと、目を閉じ両手を広げる。
「今度こそ、逃がさん!」
なに!?
こ、今度こそ……だと?
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人間の人間による人間の為だけの国を築いた。
次回「第三世界」
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