Once In A Blue Moon

プロローグ

 異様な警告音が、世界中で鳴り響いた。


 星を包み込むような2つの巨大な妖気は、機器の故障を疑いたくなるほどの数値を出すと、本来、あらわすべき警戒レベルを数値から、アルファベットへと変貌させた。

 その表されたアルファベットは『M』と書かれており、その背景には、バフォメットのような山羊の絵が描かれていた。


 そのシステムを構築した者は、すでにこの世には居ないものの、その血を受け継いだ者が、その警戒レベルを上げた内の一人だった。

 

 世界の――否、この星の危機である筈の戦いをまるでスポーツの観戦でもするかのように、上空から眺める者たちが居た。


「どっちが勝つと思う?」


 質問者に対して、何を言っているんだとばかりに鼻で笑い、フェリオスは答える。

 

「メイヲールに決まっている。腐ってもヤツは、親父の子だぞ」


 まるでそう答えると分かっていたようにニヤリと微笑み、グレイスは賭けを提案する。


「なら、賭けないか?」


 フェリオスは、賭けにならない提案をしてきたグレイスに、気でもれたのかと、疑いの眼差しを向ける。


「おいおい、お前はあのドラキュラに賭けるつもりなのか? 確かに、ドラキュラとしては、例のないほどに強いのは認める。だがな、それでも、メイヲールの半分にも満たない。アイツの持っている剣は素晴らしいが、剣に振り回されている。もし、メイヲールにあの剣を奪われれば、即、終了だぞ」


「あぁ、それでも構わない。俺は、あのドラキュラに賭ける」


「賭けるのはいいが……何を賭ける?」


「アイツの剣で、どうだ?」


「お前も目を付けてたのかよ! 解った、じゃぁ俺は、メイヲールに賭けよう」

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