秦王暗殺

作者 よるみみ

3

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★★★ Excellent!!!

 ぶっちゃけですね、燕の太子丹。最低。故に最の高。ストーリーの駆動力として爆速マックス。完璧なまでの推進力でした。主人公三人の友情と恋と義や復仇に殉じた姿も良いのだけれども、丹のあらゆるものをなぎ倒していく暴走機関車ぶりに関心が寄りまくって仕方なかったです。そしていま史記の刺客列伝読んできたけど、結構原作でも太子丹クソ野郎でわらた。

 自分の中でやっちまったなーと感じるのは、ビジュアルがキングダム寄りになっちゃったことですね。達人伝寄りになってれば、もうちょっと政のビジュアルイメージもスッキリできたんですが。迂闊。ただし樊於期は、不思議と完全オリジナルなビジュアルが浮かびました。フシギダネ。

 物語において、情報量の制限は非常に重要なタームだと感じています。この物語でも、主筋となる人物以外は見事に切り落とされてます。この辺のチョイスってけっこう難しかったんじゃないかなー。けどあれなんすよね、余計な人物出しちゃうとどうしても物語が回り道せざるを得ない。例えば燕を滅ぼした李信なんて出せば否応なく楚攻めの話とかも出さなきゃいけなくって、荊軻の物語なのに回り道しなきゃいけなかったりで。

 自分の方で言う、五胡十六国における「淝水での勝利を人知れず狂喜乱舞する謝安」みたいなものって、どっかで入れなきゃいけないかなーとかちらりと思うんですが、それを紹介するためには余計なもんをたくさんくっつけなきゃいけなくなるんですよね。そう言う意味では、このお話の切り捨て方は潔いと思います。荊軻とその友人たちの義に集中できる。

 その部分で言うと、白起の長平四十万を完全にオミットしちゃったのはやり過ぎだったかな、と言う気はしました。ただそれは、白起を知っているからこそ思うのかもしれないです。自分の企画でも上げていますが、「三国志以外」の中国史物語、おっそろしいほどに知られていない。なので白起… 続きを読む