気が向けば
愛する女を守るために絶対に勝てるはずのない相手の前に立ち塞がった
だが、私に敵対するというなら容赦はしない。お前の役目も既に終わってる。玖島楓恋も返してもらわなきゃならんし、ここで引導を渡してやるぞ、レゼヌゥケショネフォオア!
空間を超越して、私は奴の背後に回った。と言っても、超越者にとって視界など実はあまり関係ない。私達の知覚は本来、あらゆる存在を同時に感じ取れる。人間の肉体に縛られた私よりも、今のレゼヌゥケショネフォオアの方が鋭敏だ。正確に触手が私目掛けて奔る。しかし私はそれを捉えて力任せに振り回し、ビルへと叩き付けた。その衝撃でビルが途中から折れ、上層階が地上へと崩れ落ちる。
でもまあ、既に中の人間達は化生共に襲われて生きてる者などいない。いたとしても、事が終わればすべて巻き戻してやる。心配するな。
ただし、私が勝てればの話だが。
私以外の奴、例えばカハ=レルゼルブゥアでさえ、人間達を巻き戻してくれるかどうかは保証の限りではない。気が向けば巻き戻してくれるかもしれんが、あいつはまだ、
ショ=クォ=ヨ=ムイは、私に対して嫌がらせがしたいのだから、それこそ巻き戻してなどくれん。ましてやレゼヌゥケショネフォオアやハリハ=ンシュフレフアにとってはもはや地球などどうでもいい存在に過ぎん。宿敵であるカハ=レルゼルブゥアが地球に顕現したからそれを潰しに来ただけだしな。
人間達がどれほど力を合わせようと抗おうと、ハリハ=ンシュフレフアが徹底的にやるつもりならそれを止める手立てなどない。奴にしてみれば地球ごと消し去ってしまっても構わんのだから。
と言うことは結局、私が勝たねば地球はお終いということだ。
「そんな訳で、貴様はさっさと潰れろ!」
さりとて、レゼヌゥケショネフォオアは私とほぼ同格の超越者。簡単にやられてなどくれんが。
触手の股から次々と仔を生み出し、その仔が私に襲い掛かってくる。一匹一匹は雑魚でも、数が集まればそれなりに強力だ。互いに絡まり合い、群体のように一つの生物であるかの如くそれは振る舞った。さしずめクラゲの怪獣だな。が、そのクラゲの怪獣の前に、別の巨大な影が現れた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます