異形のもの
病院前に戻ると、そこにはさらに多くの化生共が集まっていた。
そして、そいつらを従えるように、
「ふん……」
その体は既に人間のそれではなく、三本のうねる触手が絡まり合った異形のものへと変わり果てており、表面に辛うじて玖島楓恋の姿が残されているだけだ。
「さあ、楽しませてもらおうじゃないか……!」
私は遠慮なく狂悦の笑みを浮かべて、呪詛を投げかけた。
時間は再び若干遡る。
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それぞれの前に現れた奴らと、三人はほぼ互角だった。しかも先にも言った通り、この時のムォゥルォオークフとベニュレクリドゥカニァは、普通はなかなかお目に掛かれないほどの飛び切り強力な個体だったにも拘わらずだ。
だが、状況は更に進んだ。こんな程度の奴ら相手に手こずっててもらっては困る。敵はもっと増える筈だ。それこそ、こいつらがただの雑魚に見える程度にはな。
私は髪を飛ばし、赤島出姫織と新伊崎千晶、そして
「ありがたく使わせてもらうわ!」
赤島出姫織はそう声を上げて、自らの力をイメージしやすい姿に変えた。魔力を秘めた鎧に身を包んだ、魔法剣士とでもいう姿に。さすがに以前のような尻丸出しの痴女にされては敵わんと思ったらしい。
「……」
それに対して新伊崎千晶は黙ったまま、ローブを纏い、魔法の杖を抱えたいかにも<魔法使い>という格好になった。召喚魔法が得意だからか。こちらもゴスロリメイドの格好は懲り懲りらしいな。
「え? なに? これ、どうしたらいいの!?」
黄三縞亜蓮は初めてなのでさすがに戸惑っていた。見た目は無難に制服にしておいた。
「お前のイメージしたものが力となって現れる。好きに使え! だがお前は出産直後でダメージも抜けきってないだろうから、戦うよりも自分の身を守るだけに専念すればいい!」
私の言葉を聞いた黄三縞亜蓮が、ハッとした顔をした後、今度はキッと顔を引き締めた。その視線は、娘である
「この子だけに戦わせる訳にはいかない。私がこの子の力になる!」
ふん、母性とかいうやつか。まあいい。
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