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「山下沙奈さんだね? 今は確か、日守こよみさんと一緒に暮らしているという」
山下沙奈に招き入れられた
「はい」
そう頷いた山下沙奈の背後のテレビモニターには、ニヤニヤと笑う
「もう大丈夫だよ。ここは安全だから」
怯えていた子供達にそう声を掛けたのは、千歳だった。
子供達を千歳に任せ、今川は再び山下沙奈に問い掛ける。
「日守こよみさんは今どこに? それと、この事態はいったい?」
すると山下沙奈は、
「まずはお掛けください。今、水をお出しします」
と席に着くことを促し、それに従った今川と子供達に対して水を差しだした。そして自分も椅子に腰かけ、落ち着いた様子で話を始めた。
「先輩は今、戦っています。これは、地球に押し寄せてきた、先輩と敵対する邪神の攻撃なんです」
この辺りの事情は、石脇佑香がほぼ完全に把握していた。その説明を受けた山下沙奈が、それをさらに今川に伝えているのである。山下沙奈は続ける。
「ここは先輩の作った結界に守られているので安全です。空間そのものがずらされているので、こちらから導き入れないと入れません」
その言葉に、今川の顔にも安堵が浮かんだ。少なくとも自分が守った子供達の安全が確保されたと感じたからである。
「そうか、それを聞いて安心した。この子供達を任せてもいいかい?」
「はい、お預かりします」
山下沙奈が応じると今川は頷き、今度はキッとした表情になって問うてくる。
「日守こよみさんと連絡が取れるかな。私も戦いたいんだ。その為の力を貸してほしい」
その時、今川の背後に私は姿を現した。そして一切の前置きもなく、
「丁度いいところに来た! 手を貸せ今川! 貴様の都合は聞かん!」
と言いつつ私の髪を植え付けた。
「やれやれ相変わらず強引な人だ」
今川は振り返って苦笑いを浮かべつつ、魔法使い共の惑星の時と同じ、私の力で強化された道着姿に変わり、
「けど、私もそのつもりで来たんです。お供しますよ」
と応じた。しかしそれにはもはや構わず、私は山下沙奈に向かって一方的に声を掛けた。
「山下沙奈、もうしばらく留守を頼む。今日中、いや、恐らく昼過ぎまでには片が付く。昼食の用意を、そうだな、お前の得意なオムライスでも用意しておいてくれ。皆、腹を空かせて帰ってくる筈だ」
そんな私に彼女はふわっと微笑んだ。
「分かりました。お待ちしています。先輩」
それを耳にして私は今川を連れ、再び空間を超越した。奴らとの決着を付ける為に。
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