謀られた!!
私が
それは、
何故急にそんなことになったのか、考えてみればすぐに分かることの筈だった。にも拘らず私はサタニキール=ヴェルナギュアヌェに気を取られて失念していたのだ。カハ=レルゼルブゥアが予定を早めてでも出てこなければならなかった理由。
「くそっっ!! 謀られた!!」
私は、自分の迂闊さにブチ切れそうになっていた。この役立たずの頭を自分で叩き潰したいくらいだった。いくら<縛りプレイ>を楽しんでいたとはいえ、これはない。
「ここは任す! 好きにしろ!!」
影共やナハトムにそう言い放ち、私は空間を超越したのだった。
時間は少し遡る。
私がサタニキール=ヴェルナギュアヌェを探して向こうをうろついている頃、日本は相変わらずだった。経済的な影響を受け一部の人間は慌てふためいていたが世間の殆どはそれがどれ程のことか理解もせず、平和ボケの安寧を貪っていただけだった。
海上自衛隊のイージス艦の一件も、それがどれだけ深刻な話かというのを理解している人間などいない。異能力者の類でもな。
無論、それは月城こよみらも同様だ。私は
だが、それは突然訪れた。
「肥土君…助けて…赤ちゃんが……」
授業中に、何の前触れもなく、黄三縞亜蓮が絞り出すようにそう言って倒れてしまったのだ。椅子から転げ落ちて床に倒れた彼女のスカートが濡れ、床に液体が広がっていく。他の生徒は「何々!? おしっこ!?」と声を上げたが、尿の臭いはなかった。羊水だ。破水したのである。
「黄三縞! 今、救急車を呼んだ。頑張れ!」
スマホを手にした
その騒動はすぐに他の教室にも伝わり、野次馬が集まってくる。それを掻き分け現れたのは月城こよみだった。その後に、
「亜蓮、しっかりして!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます