殺人鬼

身長数十メートルのJKの解体シーンはさすがに圧巻だった。もっとも、そんなことで死んでやるほど私は甘くない。とは言え少々エネルギーを使い過ぎた藤波沙代里ふじなみさよりが、巨大なバラバラ死体の中から本来の大きさで飛び出してくる。


「悪い! 油断した!」


そう声を掛けてくる藤波沙代里を下がらせると、


「今度は私がやるぅっっ!!」


と、狂気を孕んだ甲高い声を上げながら、十一歳の連続殺人鬼コンスタンティア・エリントンが地面に転がった巨大な藤波沙代里の頭を貫通し中に飛び込んだ。すると人間の頭だったものが一瞬で組み変わり、三メートルはあろうかという裁ちバサミを抱えた身長五メートルほどの少女の姿になった。


大きさはずっと控えめだが、禍々しさでは遥かに上回る存在感があるな。


「キャアーハハハハハァァッ!!!」


化鳥の如き笑い声と共に宙に舞い上がり、太刀のようになった両腕を振り回すロヴォネ=レムゥセヘエの攻撃をかいくぐり、裁ちばさみを殻と殻の隙間に突き立てる。コンスタンティア・エリントンには見えているのだ。奴の弱いところが。それがこいつの才能だった。


人間だろうが何だろうが、急所というものが見えてしまうのである。そしてそれが見えると突かずにはいられない。それがこいつだ。


今はこうして武器を使っているが、元々生き物が窒息して死ぬところを見るのがこいつは大好きだった。だから、八歳の子供と六歳の子供については首を絞めて殺した。


しかし、当時の警察の捜査力ではそれが殺人であるということが見抜けず、子供によく見られる突然死と見做されて病死とされてしまった。その後、コンスタンティア・エリントン自身も実の父親に首を絞められて殺されたが。


実は、こいつが窒息好きになったのは理由がある。こいつは九歳の時から実の父親に強姦されてきた。しかもその父親というのも本当にどうしようもないロクデナシのクズで、実の娘を強姦する以前から、その娘の前で母親を強姦同然に首を絞めながら犯し、娘にその様子を見せるのが趣味という奴だった。その時の、首を絞められながらオーガズムを迎える母親の姿を見て、こいつ自身も性的興奮を覚えたのである。


父親は九歳になった娘を犯し、最初は加減しながら首を絞めた。だが、当のコンスタンティア・エリントンにとってはそれさえも快楽だった。だから生き物が窒息して死ぬところを見るのが大好きになってしまったのだ。


ネズミを空気穴のないビンに詰めて窒息させ、その様子を思い出しながら一人で快楽に溺れたりもした。そしてついに人間にまで手を出し、事件を起こしてしまったということだ。


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